トレンドに左右されず、英国風パブ業態のみを磨き上げ、19期連続増収、過去15年以上「業績不振による退店無し」を達成し、着実な出店を重ねてきたハブ(東京都千代田区、太田剛社長)。同社の堅実な成長を支えてきたのが、人材教育を体系化させた『ハブ大学』の存在で、平均7%前後と離職率の低水準にも貢献している。『ハブ大学』は今年度、これまでの6年から10年へと拡大し、社内外で活躍できる経営者の輩出にも取り組む。実力と実績のある店長が、給与面でも認められる仕組みづくりも確立し、さらなる定着率アップと組織強化に努めていくという。
英国風パブ「HUB」店舗外観

英国風パブ「HUB」店舗外観

2008年にそれまでの人材教育を体系化させた『ハブ大学』は、社員一人ひとりが魅力あるリーダーへと成長するための教育・研修プログラム。『ハブ大学』でインプットした知識を現場でアウトプットし、それを繰り返すことで着実に従業員が成長していくことができる。オペレーション業務をほぼ習得し終えた入社2年目以降の社員を対象とした研修では、店長に必要な後方業務の知識からマネジメントサイクル・コーチング・傾聴スキル・リーダーシップなど業務遂行・部下育成に必要な基礎知識を習得できる仕組みを構築し、入社から約3年で店長へと就任できる人材育成を実現している。

入社式はイギリスで実施

入社式はイギリスで実施

「人の成長こそが、ハブを支える原動力。人を育てることに関しては、他社には負けない」。総務人事部人事課の曽根田誠課長は、同社独自の人材育成の仕組みをこう自負する。一般的に離職率が30%程度と言われる飲食業界の中、同社の離職率は7%前後。『ハブ大学』の推進が、企業としての確実な成長へとつながっているという。また入社式をイギリスで実施しており、長い歴史と伝統の中で地域コミュニティーを形成するひとつの文化としてしっかりと根付いてきた本場英国のパブを体感させ、「英国パブ文化を日本に普及させることで日本の暮らし・社会をより一層豊かなものにする」という経営理念の浸透にも努めている。

総務人事部人事課 曽根田誠課長

総務人事部人事課 曽根田誠課長

〈社内外で活躍できる経営者の育成へ〉
『ハブ大学』の仕組みをより強化するため、今年から研修期間を10年に拡大し社内外で活躍できる経営者の輩出に向け、更に発展させた。「当社に入社する従業員は、ハブでの経験を活かして、将来は自分の店を持ちたいと考えている人も多い。ピラミッド型の組織では、一部の従業員を除き、多くが店長として現場に留まる。こうした背景を受け、さらなる定着率のアップと、より現場を輝ける場にしたいと、昨年の東証一部上場を機に、『ハブ大学』のさらなる充実を図った」(曽根田氏)。

7年目以降の研修では、広範かつ専門的なスキルを有する業界最高水準の管理職育成機関として、外部の専門家を招き、経営者としてのスキルを身に着けるカリキュラムを多数用意した。「当社の経営理念は、日本に英国パブ文化を広げること。退職後に英国パブを経営する場合には、開業支援も検討中で、『ハブ大学』の4年間の拡大で社内はもちろん、社外でも活躍できる経営者を育成したい」(曽根田氏)。

また同社は、年収800万円店長輩出にも意欲を見せる。「店長を中心に従業員がより輝ける仕組み作りに挑戦する。店長の平均年収は現在でも540万円と高水準だが、実力と実績のある店長が給与面でより一層認められる仕組みを作ることで、さらなる定着率アップと組織強化に努めていく」(曽根田氏)とした。一方、店舗運営を支えるクルー(アルバイト)を対象とした新たな採用施策も開始した。今年からTOEIC700点以上を対象に英語能力を時給に反映させる施策を実施。「外国人客が多いハブでは、以前から英語を話せる職場として、アルバイトに人気だ。時給アップは10円で、クルーのやりがいや誇りにつなげる施策として英語能力の見える化を図った」(曽根田氏)という。専用バッジを着用し、拡大するインバウンド客への対応を図った、ハブならではのユニークな取り組みを強化している。

〈早い時間の飲酒需要に対応、日本に英国パブの文化を根付かせる〉
同社の中期経営計画では、2024年に現状の約2倍に当たる200店舗の規模に到達することを目標に掲げている。持続的な成長に向け、社員の働き方改革にも着手しており現在、検証中なのが、早い時間帯での飲酒需要への対応だ。インバウンド客やアクティブシニアの増加で早い時間帯での飲酒需要は今後、確実に高まる見込みだ。本場英国パブ同様、日本にも文化として根付かせることで、昼の時間帯にも売り上げの山場を作り、子どもを持つ店舗従業員にとって一層働きやすい職場環境の構築にもつなげていく。

〈食品産業新聞 2018年8月7日付より〉