〈採用強化で成長を加速〉
2020年まで毎年全店売上高年平均5%以上の成長率の目標を掲げ、店舗への投資を継続的に行っている日本マクドナルド(東京都新宿区、サラ・L・カサノバ社長)。

蟹谷賢次コミュニケーション本部PR部長は、「当社の基本はピープルビジネス。成長の源泉は“人”にある。今後も採用と教育を強化することで継続的な成長につなげていく」と、次なる成長に向け人材への投資を強調する。
日本マクドナルド・蟹谷賢次コミュニケーション本部PR部長

日本マクドナルド・蟹谷賢次コミュニケーション本部PR部長

15年から17年の3年間、全店売上高が毎年2ケタ増で推移するなど急速な業績回復を遂げた同社。日本進出以降、50年近くにわたって培ってきたクルー(アルバイト・パート従業員)へのトレーニングとつながりの強化が、復活を下支えしたという。採用強化の一環で実施した「クルー体験会」を今秋も実施し、成長の源泉をより強固なものにしていく意向だ。

同社の18年度全店売上高は、前期比6.1%増の5200億円を見込む。19年以降も毎年5%以上の伸長を目指し、営業利益・経常利益ともに10%以上の成長を目標に掲げた。継続的な成長の基盤のひとつに掲げたのが、“ピープル”への投資で、採用、トレーニング、つながりの強化の3つを柱に取り組んでいる。

「QSC&V(クオリティー・サービス・クリンネス&バリュー)といった最高の店舗体験の実現に向けて、重要となるのが“人財”だ。クルーの在籍人数は14万人。現在は充足している状況だが、今後成長を加速していく上でも積極的なクルー採用に取り組んでいる」(蟹谷氏)。

〈クルー増員で顧客満足度が上昇〉
その一環として、17年春にはハイアリング(採用)キャンペーン「クルー体験会」を初めて開催した。全国のマクドナルド店舗を対象に1回約30分で、ハンバーガーの製造体験や接客模擬体験、フードセーフティへの説明(手洗いの徹底、資材管理など)を行うもので、「クルー体験会」も含め4カ月にわたって実施したキャンペーン期間中、当初予想を超える約2万8000人の採用に至った。続く同年秋には主婦(主夫)に特化した同キャンペーンを実施し、推定300万人とも言われる女性潜在労働力の活躍の場にマクドナルドを提案。また今年3月の実施では学生から主婦、シニア、外国人と多様性を体現化したテレビCMも投下、多様な働き方が認められる職場であることを訴求し、多くの採用につなげたという。

「現役クルーとのコミュニケーションの場も設けた 『クルー体験会』の実施は、採用前に店舗と応募者のミスマッチをなくすためにも大きな成果があり、採用後の定着率のアップにもつながった」(蟹谷氏)。

「クルー体験会」を含めた一連のハイアリングキャンペーンなどで、同社は16年から17年で2万人のクルーを増員した。それに伴い、スピードやおもてなし、清潔など同社店舗への顧客満足度を問うアンケート調査ではQSCの各項目とも右肩上がりに満足度が上昇。商品力や店舗開発力に加え、クルーの採用、教育強化も同社の完全復活を下支えしたという。「クルー体験会」は、今秋も実施を計画しており、採用強化で成長の源泉である“人財”をより強固なものにしていく意向だ。

〈“ゲーム感覚”の教育ツール導入へ〉
クルーにとってより働きやすい職場を目指すため、同社はクルートレーニングプログラムの充実にも注力する。今年からタブレット端末を利用し、ITリテラシーの高い若年層に合わせ、ゲーム感覚で店舗業務を習得できる教育ツールを導入する予定。動画を活用したトレーニングプログラムは「覚えやすい」と外国籍のクルーにも好評だ。

一方、つながりの強化としては、全国のクルーがそのスキルを競う、年に一度開催される技能コンテスト「AJCC(オール・ジャパン・クルー・コンテスト)」を1977年から実施。接客やバーガー類・ポテトの製造など7部門のトップを決める大会で、クルーにとってお互いのスキルを高めることのできる絶好の機会にもつながっているという。また食育支援活動や少年スポーツ支援など地域貢献に向けた取り組みも継続して実施しており、地域に根差した店舗を目指すことで働きがいのある職場づくりの構築にも貢献している。

技能コンテスト「AJCC」の実施はクルーのスキル向上につながっているという

技能コンテスト「AJCC」の実施はクルーのスキル向上につながっているという

教育の充実に加え、成長できる環境やクルーと店舗とのつながりつながりを強化した取り組みが功を奏し、同社で働くクルーの84%が高い満足度を感じているという。クルーの満足度の高さから友人紹介による採用は6割にも及ぶ。

「新卒社員のクルー経験比率は75%。クルーとしての経験ややりがいが、卒業後に社員として就職する場として数ある企業の中から当社を選んで貰えていることは大変光栄だ。クルーへの教育が、優秀な人材確保にもつながっており、教育ツールの充実を随時見直し、より働きやすい職場づくりにつとめていく」(蟹谷氏)とした。

〈食品産業新聞 2018年8月2日付より〉