〈定置網にかかった未成魚のはまちを育てた「魚育はまち」も〉
回転寿司チェーン「くら寿司」は11月6日、握り寿司「ニザダイ」と「魚育はまち」を東京・大阪・埼玉の計10店舗で発売する。「ニザダイ」は海藻を主食とし、漁獲減少の原因となるため駆除対象とされる魚。「魚育はまち」は定置網にかかった未成魚を育てたもの。ともに2貫で税別100円、11月12日までの期間限定販売。

販売店舗は、天六駅前店、新世界通天閣店、なんば日本橋店、東貝塚店、松原店、池袋サンシャイン60通り店、池袋東口店、浅草 ROX 店、高島平店、川越的場店。

くら寿司では2010年から、漁業者との共存共栄を目指し、サステナブル(持続可能)な海洋資源と食品ロス削減への取り組み「天然魚プロジェクト」を実施している。今回発売の「ニザダイ」と「魚育はまち」は、この活動の一環として商品化するもの。

「ニザダイ」 は、主に西日本でよく獲れる魚だが、海藻を主食とすることから、水産物の産卵・育成に必要な海藻が大規模に消失する現象「磯焼け」の原因とされ、駆除の対象となるなど“厄介者”として扱われてきた。また、独特の匂いから商品化も難しかったという。

本来、「ニザダイ」は脂のりも身質もよいが、この匂いのために市場価値は低く、網にかかっても廃棄されてしまう場合もあるという。この匂いの原因は、主食の海藻が体内で発酵することだとされている。くら寿司は、神奈川県水産技術センターがウニのキャベツ養殖に成功したことからヒントを得て、ニザダイに約1週間キャベツを与えることにより、特有の匂いを軽減。捨てられてしまうキャベツの外葉を活用し、自然の恵みを有効活用した“三方良し”の商品に仕上げた。
くら寿司「ニザダイ」

くら寿司「ニザダイ」

 
くら寿司によると、これまでにもボラなど匂いのある商品は扱ってきたが、ソースなど味付けで食べやすくして提供しており、エサの工夫で魚の匂いをなくす取り組みは初めてだという。今回は徳島で漁獲したニザダイ300kgを加工し、反響によってはあらためて販売を検討する方針だ。
 
一方、「魚育はまち」は、2019年から開始した、定置網にかかった未成魚を畜養し、商品価値がより高い寿司ネタ用の魚として出荷する取り組み「天然魚 魚育(うおいく)プロジェクト」の初成果となる商品。そのままでは商品化できない平均700gほどの小さなはまちを、約1年かけて養殖用の生けすで約2㎏になるまで育てた。ほどよく脂が乗り、コリコリとした食感も楽しめる寿司に仕上がったという。今回、2トンを商品に使用する。

くら寿司「魚育はまち」

くら寿司「魚育はまち」

 
通常、定置網での漁獲の際に成魚とともにかかってしまった未成魚は、無料同然で市場で売買されるか、海に戻しても多くが他の魚や鳥に食べられてしまう。くら寿司はこれまでも、海鮮丼の具材や、すり身にしてねり天やコロッケの材料にするなど、有効活用を進めていたが、用途が限られてしまうという課題があった。そこで、2019年10月からハマチの未成魚の養殖を行い、今回の「魚育はまち」商品化に至った。
 
11月5日に都内で開催された試食会で実食したところ、「ニザダイ」の臭みが気になることは全くなく、脂の旨みを存分に感じられた。また、「魚育はまち」でも、旨みとコリコリ食感を楽しめた。
 
くら寿司は「魚育はまち」について、さらに脂のりをよくするための研究も進めているとしており、こちらも再登場が期待できそうだ。