韓国チキン「チョアチキン」約1年で50店舗達成、“ご飯に合う日本人好みの味”

「チョアチキン」「ヤンニョムチキン」など(チョアチキン下北沢店)
韓国ドラマ「愛の不時着」のヒットで人気に火が付いたと言われている韓国チキン。ザクザクした食感の衣が特徴で、コロナ禍のテイクアウト・デリバリー需要もブームを後押しした。

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参入や出店が相次ぎ、競争が激化しているなかでも急速に店舗数を伸ばしているブランドが「チョアチキン」だ。

展開を開始してから約1年で、FC(フランチャイズ)を含め50店舗まで拡大。フードデリバリーサービス「Uber Eats」でのリピート率は約65%、一番高い店舗では72%に上るという。運営形態は、既存の飲食店がデリバリー専門の別ブランドとして展開する店舗や、実店舗でテイクアウト販売する店舗などさまざまだ。

「チョアチキン下北沢店」外観

「チョアチキン下北沢店」外観

 
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4月29日の「チョアチキン下北沢店」リニューアルオープンを前に、「チョアチキン」を運営するMan de Dalla(マンデダーラ)は4月26日、初のメディア向け戦略発表会を開催した。
 
Man de Dallaの松尾悠司代表取締役によると、「チョアチキン」の好調要因は、食事にも合う日本人好みの味や、リピート率・利益率の高さにあるという。
 
〈目指したのは“ご飯に合う日本版韓国チキン”〉
韓国チキンというと、フライドチキンに甘辛いソースを絡めた「ヤンニョムチキン」などがあり、日本では新大久保の食べ歩きグルメなどで、おやつ感覚で親しまれてきたという。
 
そのなかでチョアチキンが目指したのは、日常にフィットした“ご飯に合う日本版韓国チキン”。食卓の一品としても活用できるよう、プレーンのフライドチキン「チョアチキン」は薄味に仕立てた。一番多い購入層は30~40代女性の主婦層。食事やおやつ、つまみなど幅広いシーンで利用されるため、店舗におけるアイドルタイムはないという。

プレーンのフライドチキン「チョアチキン」(チョアチキン)

プレーンのフライドチキン「チョアチキン」(チョアチキン)

 
あえて本場の味を持って来ることはせず、衣やソース、独自配合のパウダーはすべて国内生産(鶏肉はブラジル産、6月からタイ産に切り替え予定)。独自の揚げ方「チョアフライ」によって、サクサクとした軽い食感が長時間保たれるように仕上げている。
 
ソースは衣の食感を損なわないよう、水あめを入れて粘度を高めており、利用客からは「ソースを絡めているのにサクサク」と好評だという。記者もこの日、提供されて6時間経った「ヤンニョムチキン」と「チョアチキン」を家で試食した。もちろん揚げたてには敵わないが、温めて直していないにも関わらず、ところどころにカリっとした食感が残っていた。

「ヤンニョムチキン」(チョアチキン)

「ヤンニョムチキン」(チョアチキン)

 
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〈注文した利用客にはメッセージカードを〉
松尾代表によると、利用客にブランドを好きになってもらえるよう“人の温かみ”を大切にしているという。具体的には、商品にメッセージカードを添えて提供している。このメッセージカードは、手書き風に印刷されたもので、店舗スタッフはデリバリーを注文した顧客の名前を書くだけで済むようになっている。30種類のパターンを用意し、加盟店に提供している。
 
〈韓国チキンの利益率 からあげの1.5倍〉
松尾代表は「利益率が、からあげの1.5倍ある韓国チキンだからこそ、売り上げが立てやすい」と話す。月商500~700万円を超える店舗も多々あるという。
 
からあげは1個単位や100g単位から注文できるのに対し、韓国チキンは300g単位での販売が多い。チョアチキンの「ヤンニョムチキン」は、300g1490円で販売している。利益率は高いが、利用客からは割高感を持たれにくいという。新大久保の食べ歩きグルメとして楽しまれる、観光地価格の韓国チキンが比較対象とされるためだ。
 
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「チョアチキン下北沢店」メニュー

「チョアチキン下北沢店」メニュー

 
なお、「チョアチキン」のFCに加盟する際の加盟金は50万円。ロイヤリティは定額方式で、月額5万3千円。投資回収期間は、デリバリー専門なのかテイクアウト販売もするのかなど運営スタイルによって異なるが、1週間や1カ月で50万円を回収した店舗もあるという。
 
今でこそ50店舗を達成した韓国チキンブランド「チョアチキン」だが、もともとはMan de Dallaが運営するカレーライス&ナポリタン「カレのナポリ」で、テイクアウト・デリバリーに強い商品として考案したものだという。

Man de Dallaの松尾代表

Man de Dallaの松尾代表

 
「『Uber Eats』で実験販売をしていた時にちょうどコロナになり、本業の売上が落ち込むなか、韓国チキンによって僕たち自身がとても救われました」(松尾代表)。その様子を見たほかの飲食事業者から、「のれん分けしてくれないか」という話が多くあり、徐々に店舗を増やしていき、今のFC展開につながったという。
 
はじめは既存の飲食店が、デリバリー専門のブランドとしてゴーストレストランのような形で展開する運営スタイルが主だった。しかし、それだと「Uber Eats」を利用しない層での認知向上が望めないことに気付いたという。今後は、実店舗無しのゴーストレストランでのFC募集も継続はしていくが、実店舗で「チョアチキン」として展開する運営スタイルを推進していく。
 
加えて、戻りつつある外食ニーズに対応するため、店内飲食スペースを設けた店舗も続々出店していく構えだ。今回4月29日にリニューアルオープンする「チョアチキン下北沢店」にも飲食スペースを設け、イートイン・テイクアウト特化型の旗艦店として運営していく。
 
松尾代表は、「多くの方にブランドを認知していただくには500店舗ほど必要だと考えている。まずはそこに向けて3年くらいかけて進めていきたい」とした。

「チョアチキン下北沢店」2階の飲食スペース

「チョアチキン下北沢店」2階の飲食スペース

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〈「チョアチキン下北沢店」店舗概要〉
◆オープン日

2022年4月29日

◆住所
東京都世田谷区北沢2丁目14-18

◆公式サイト