レストラン「ディズニー・ハーベスト・マーケット」、ディズニーファンの共感を呼ぶ理由とは/カフェ・カンパニー

「ディズニー・ハーベスト・マーケット」グランドメニューの一部/カフェ・カンパニー
渋谷ヒカリエ(東京・渋谷区)内にある「Disney HARVEST MARKET By CAFE COMPANY」(以下、ディズニー・ハーベスト・マーケット)は、ディズニーの栄養成分に関するガイドラインの基準を満たしたヘルシーな料理で、ディズニーの世界観を表現しているカフェ&ギフトショップだ。

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店内には、“「純粋無垢」を意味する真っ白なミッキーマウスがハーベストな大地に腰をおろして四季折々の自然を愛でる姿”をイメージした巨大なミッキーマウスのオブジェなど、さまざまなこだわりのインテリアを設置し、オリジナルグッズや食品を販売する物販コーナーも併設している。

「ディズニー・ハーベスト・マーケット」内観

「ディズニー・ハーベスト・マーケット」内観

「ディズニー・ハーベスト・マーケット」内観

新型コロナウィルス感染拡大予防策の一環として、現在、カフェは基本的に予約制だが、空きがあれば飛び込みの利用も可能。誕生日会やお祝いなどのシーンで利用されることも多く、誕生日プランの予約はほぼ毎日入っている状況だ。
 
運営するカフェ・カンパニーでは、予約客のうち8割以上をディズニーファンが占めると見ているという。リピーターも多く、なかには、昨年9月のグランドオープン以来10回以上来店している利用客もいる。ディズニーファンから支持される理由はどこにあるのか。「ディズニー・ハーベスト・マーケット」の高木康秀店長が食品産業新聞社のインタビューに応じた。
 
〈ディズニー・ハーベスト・マーケット「4つの約束」と「Japan local」〉
「ディズニー・ハーベスト・マーケット」では、ヘルシーなガイドライン「4つの約束」と、コンセプト「Japan local」を掲げている。
 
「4つの約束」では、ディズニーのガイドライン「ディズニー・チェック」をもとに、「600kcal以下(一皿あたり)」「塩分2.5g以下(一皿あたり)」「脂質30%以下(カロリーに対して)」「トランス脂肪酸ゼロ」の基準をメニューに設けている。

「ディズニー・チェック」ウォルト・ディズニー・ジャパン

「ディズニー・チェック」ウォルト・ディズニー・ジャパン

一方、コンセプトの「Japan local」では、生産者と地域の共生や日本の四季を大切にし、“日本のおいしい”をキーワードとしている。
 
人気メニューのひとつは、ミッキーマウスをイメージしたハンバーガー「陽気な農園主のジャンボマッシュルームバーガー~Mickey Style~」だという。直径7cmのマッシュルームに牛ひき肉を詰め、オリジナルの低糖質バンズで挟み、複数の生野菜を添えている。1皿あたりのカロリーは450kcalで、塩分1.7g、糖質40.4g。

「陽気な農園主のジャンボマッシュルームバーガー~Mickey Style~」/ディズニー ハーベストマーケット

「陽気な農園主のジャンボマッシュルームバーガー~Mickey Style~」/ディズニー ハーベストマーケット

スイーツには、ミニーマウスをイメージしたオートミール入りの「抹茶&柑橘のパンケーキ」や、デイジーをイメージしたパフェ「おしゃれパティシエのダブルベリーグラス~Daisy Style~」などを取りそろえる。一般的にホイップクリームやバニラアイスクリームを使用するところ、ヨーグルトをフローズンやクリームにするなど、カロリーや脂質を抑えるよう工夫している。

「抹茶&柑橘のパンケーキ」/ディズニー・ハーベスト・マーケット

「抹茶&柑橘のパンケーキ」/ディズニー・ハーベスト・マーケット

店舗では食事提供だけでなく、エンターテインメント要素を加えており、利用客が楽しく過ごせる仕掛けを施している。スタッフによるメニューの丁寧な説明は、ディズニーリゾートのキャストが行うストーリーテリングのようで好評だという。
 
カフェ・カンパニーは企業理念の中で「心と体の健康に寄与しながら食の持続可能性に貢献する」ことを目指しており、ウォルト・ディズニー・ジャパンが掲げる“人や社会や地球をヘルシーにする活動”「ディズニー ヘルシー・テイメント」に共感し、そこに“日本ならでは”の要素を加えて体現する場所として、新たな業態開発を目指したのが「ディズニー・ハーベスト・マーケット」の始まりだ。
 
〈ディズニーファンの期待に応える店舗体験を/ディズニー ハーベストマーケット〉
高木店長によると、ゲストの期待値に応えることを常に心掛けているという。
 
「『ディズニーなのに笑顔がない』『ディズニーなのに接客が優しくない』など、枕詞に“ディズニー”が付くということは、立ち上げ当初から想像していました」(高木店長)。ディズニーの名が付く店舗に対して、利用客が期待するレベルに達していないと、減点方式の店になってしまうことを念頭に置いていたそうだ。

ディズニー・ハーベスト・マーケット/カフェ・カンパニー

ディズニー・ハーベスト・マーケット/カフェ・カンパニー

店舗スタッフの採用面接には、一回あたりに通常の約3倍の時間をかけた。共感して働いてもらうため、コンセプトや理念を説明するのに時間を要したという。
 
「飲食店のスタッフはどんな店舗でも、元気良く笑顔でホスピタリティがあるという要素が大切であることに変わりはありません」としつつ、「採用後の研修では、通常の飲食店の研修にプラスして実施したこともあります」と語った。
 
例えば、子連れの家族が写った写真や、仲が良い様子の若い女性2人組が写った写真をスタッフに見せて「どういう声掛けができる?」と問いかけるなど、客層やシチュエーションに合わせた接客のトレーニングを行った。
 
ドリンクを提供するときにも、細かな心配りがある。ディズニーキャラクターをプリントしたオリジナルの紙製コースターは、記念に持って帰る利用客も多い。水滴が付かないよう、基本的にコースターの上にドリンクを置かずに提供し、「お持ち帰り用の袋は必要でしょうか」という声掛けもしている。
 
料理を注文して提供されるまでの間は、利用客は内装やインテリアに隠れているミッキーのマーク、いわゆる“隠れミッキー”を探したり、物販コーナーを見たりすることができる。“隠れミッキー”のなかでも難易度が高いものは、子ども同士などのゲスト間で「このあたりにあるそうですよ」といったコミュニケーションが発生する場合もあるという。
 
「食事をして一緒に来た人と話をして帰るというだけでなく、空間とサービスも楽しんでいただきたい。通常の飲食店であれば“おいしい”というお褒めの言葉をいただくことが多いですが、この店舗では“たのしい”と言っていただけることも多いです」(高木店長)
 
〈ヘルシーな料理へのこだわり/ディズニー ハーベストマーケット〉
高木店長は、「いわゆるキャラクターカフェだと、空間に期待して来ていただく方が多いと思いますが、ディズニー・ハーベスト・マーケットでは、料理にとてもこだわっています」と説明する。

「ディズニー・ハーベスト・マーケット」グランドメニューの一部/カフェ・カンパニー

「ディズニー・ハーベスト・マーケット」グランドメニューの一部/カフェ・カンパニー

メニューの開発には、カフェ・カンパニーの本社だけでなく、店舗スタッフの声も反映した。「メニュー開発は今でも工夫していますが、ヘルシーな『4つの約束』というお題がある中で、いかに作っていくかというチャレンジがとても勉強になっています」(高木店長)。
 
ウォルト・ディズニー・ジャパンの担当チームとも頻繁に打ち合わせを行い、店舗視察の機会もあるという。「実はこのキャラクターは、こういった性格や一面を持っています」といった、メニュー化のアイデアとなる細かなストーリーを共有してもらい、一緒にメニュー開発などを進めているのだそう。
 
調理のオペレーションは、『4つの約束』やキャラクターの特性を生かした商品の実現のため、店内のキッチンで、ひとつひとつ丁寧に作っている。  ディズニーの世界観に合うよう、見た目の可愛さや華やかさにもこだわる。料理への反響では、退店してから数時間経った50代前後の男性客から電話があり、「健康的な取り組みに感銘を受けた」という趣旨のお礼を言われたことがあった。「今までは、サービスや料理のおいしさでお褒めの言葉やお手紙をいただくことはありましたが、“健康的”という切り口でお電話いただいたのは初めてでした」(高木店長)
 
「ディズニー・ハーベスト・マーケット」では、客席に塩や胡椒などのカスターセットは置いていない。こういう場合は通常、一日に何度か利用客から「塩ください」といった要望があるそうだが、同店ではひと月に1度あるかどうかの頻度だという。「ヘルシーな取り組みに対して、ゲストも共感・ご理解いただいて、楽しんでいただけているのだなと日々実感しています」(高木店長)
 
高木店長は「ゲストと一緒に作る共創関係や“共感”が一つのキーワードです」と話す。塩分やカロリーをコントロールした料理は、ただ提供するだけでは、味気ないと感じてしまう人もいるかもしれない。ストーリーテリングのように、スタッフが丁寧に説明することで、利用客はより共感しやすくなる。
 
また、「コンセプトや理念は、押し付けや一方向のコミュニケーションではなく、共感していただくことが大切。私たちが提案したいことに対して、『どう思う?』と投げかけ、お客様に『いいね』と思っていただける。それを実践してくのが店舗であり、カフェ・カンパニーです」とも話した。
 
現在「ディズニー ハーベストマーケット」では、「Japan local」をテーマに、季節限定メニューで日本の夏祭りを表現しているほか、物販では手ぬぐいなどを取りそろえるなど、日本の文化や伝統にちなんだ商品を展開している。
 
店舗やオンラインショップで販売している食品は、パッケージにディズニーキャラクターをデザインした商品を多数販売してきた。国内で水揚げされた鯖を使った「さば缶 水煮」(岩手)や、大阪の老舗ゴマ専門メーカーが手掛けた「有機深煎り金ごま油」など。今後は、そういった生産者と地域の共生や、日本の四季を大切にした取り組みを増やしていきたいという。

「さば缶 水煮」/ディズニー・ハーベスト・マーケット

「さば缶 水煮」/ディズニー・ハーベスト・マーケット (c)Disney

〈「Disney HARVEST MARKET By CAFE COMPANY」店舗概要〉

※新型コロナウィルス感染拡大防止の為、営業時間や席数を変更して営業する場合もある。
◆住所
〒150-0002東京都渋谷区渋谷2-21-1渋谷ヒカリエ 7F
 
◆時間
11:00~20:00(食事L.O.19:00、ドリンクL.O.19:00)
※土日祝 ~21:00(食事L.O.20:00、ドリンクL.O.20:00)
 
◆坪数
135坪
 
◆席数
119席
 
◆「Disney HARVEST MARKET By CAFE COMPANY」公式サイト