〈市販・業務用とも対応強化でフローズン物流機能を拡張=三菱食品・小野瀬卓取締役常務執行役員低温事業本部長 兼 デリカ・フードサービス管掌〉
――足元の低温事業業績概況について


第3四半期(4~12月)累計で低温事業の売上高は4.1%増7,702億円と約300億円増。一方、営業利益は8.6%減83億円と減益。売上規模が拡大する中で、大型物流センター新設に伴う一時費用に加え、配送費が上がる等、総じて物流コストの上昇が主な要因だ。運送業大手の値上げがマスコミで大きく報道されたが、物流業界で広範に値上げが進んだ。当社は配送ルートの効率化等を進め、物流費アップの抑制を図ったが、コスト増を十分に吸収しきれなかった。一方、売上面では冷凍が5%増3,906億円、チルドが3.2%増3,296億円と両カテゴリー共に順調に伸長した。

――市場環境について

冷食・チルドとも堅調と見ている。市販冷食は、EDLP が定着する中で、特売時に買い置きする購買ではなく、日々購入される傾向が強まった。当日の夕食用に冷食を購入するケースも増えている。その意味では、日常の食卓に一層浸透していると云える。アイスは8月以降、天候の影響を受けながらも前年並で底堅く推移し、今後も安定的な伸張が見込める。一方、チルドは当社ではCVSの店舗増に支えられて堅調に推移し、品目別ではチルド飲料やチーズが好調だ。デリカは、アニサキスやO157の騒動もあったが、総じて堅調に推移し、特に関東が好調であった。

今後、低温度帯においては、フローズンの伸びがチルドを上回ると予想する。麺類、餃子、焼売等、チルドからフローズンにシフトしている商品が徐々に増えている。例えば麺類を例に取ると、具材を増やす事が商品の付加価値アップに有効だが、これを可能にするのはやはりフローズンだ。今後、流通業界では製配販とも量の拡大に依存する事なく、付加価値を如何に増やし確保するかが重要だが、フローズンへのシフトは解決策の一つになるのではないか。又、有職主婦が増加する中、市販冷食を使うのみでなく、ホームフリージングの活用頻度が相当に高まっていて、生活者のフローズンに対する抵抗感は公表されている調査結果の数字以上に、低くなった。「フローズンは三菱」を標榜する当社には好ましい事業環境が出現しつつある。

〈4月にリクエ事業を都貿易へ移管し「クロコ」に、センターも新設〉
――フードサービス事業の新たな打ち手について


2017年度、リクエ事業は一部得意先を広域外食グループに移管しており、旧来のベースで云えば、前年比7%増140億円の通期売上を見込んでいる。伸長率が一桁に留まったのは、天候要因が影響し、主要顧客である中小飲食店、特に居酒屋業態がやや苦戦ぎみだった事もあるが、リクエ専用物流センターのキャパシティーがひっ迫し、新規得意先の獲得を抑え気味にせざるを得なかった事情が大きい。その為、今年9月千葉・舞浜に2つ目のリクエ専用センターを新たに稼働させる予定であり、漸くキャパシティー問題を解決し、積極的に打って出る体制が整う。

又、本年4月1日付でリクエ事業を当社から切り出し、100%連結子会社である都貿易に統合移管、商号を都貿易株式会社から「株式会社クロコ」へ変更する。都貿易は首都圏の主要ホテル向け酒類取引を強みとする業務用酒販卸であり、クロコの新設により、リクエの酒類品揃えを拡大するとともに、ホテルへの食材納入が強化出来るし、当社の一部門の位置付けから業務用酒類・食材の専門販社とする事で、純粋な販社に相応しい人事制度とインセンティブ重視の給与・報酬制度を導入する。クロコは販社機能に特化し、商品の仕入れやMD 機能は、主管部署である当社フードサービス本部が引き続き業務を担う。

外食市場は大きく伸張する事はなくとも、生活者が食の楽しみを外食に求める事は、今後とも不変であろう。そして、7割近くを中小飲食店が占める外食市場だからこそ、商品提案や物流提供の面で、卸の機能を発揮できる局面が益々増えると確信している。

〈自社物件の汎用フローズン専用センターに投資、人材中途採用にも力〉
なお、リクエ事業は現在、主に都内の人口密集エリアに特化・集中しているが、業務用卸数社と連携し、リクエの商品とサービスを活用いただく形で、オープンストックシステム(OSS)の取組を関東圏の郊外で進めている。今後、同様の取組を関東以外でも検討中だ。

――昨年4月にデリカ本部・フードサービス本部および生協向けビジネスのライフネット本部を独立した本部として新設した

デリカとフードサービス、得意先の業態が根本的に異なる。前者は小売業中心だし、後者は料飲店・外食チェーンだ。又、個別の本部として独立させる事により、相互に依存する甘えを一切廃止し、各々の事業の成長戦略に専念させる事が何よりも大事だと考えた。一方、ライフネット本部が担う生協様向け事業は当社が長年かけて経験とノウハウを築いてきたものであり、当社の独自性が強い重要な部門と考えている。これら新設3本部は成長の伸び代が非常に大きい事業を担っている点で共通するが、各々が専門性の高い人材を大いに育成し、陣容を強化しなければいけない。その想いから本部を新設した。

――低温関連の直近の投資計画について

大きな投資としては、今秋、横浜市金沢区幸浦に、フローズン専用(フローズンチルドの温度帯変更施設を併設)の物流センター、横浜金沢低温DCを稼働させる。土地・建物とも自社物件の汎用フローズンセンターとしては当社初である。リテール・デリカ等のフローズン領域の業容拡大を見据えた先行投資だが、これで終わりではない。今後更に、フローズン物流の機能拡張に必要な投資を計画中である。

――御社の現在の課題は

やはり何と言っても人材。事業規模を拡大する中で、コンスタントに新卒及び中途採用を増やしてきたが、量的にも質的にも一層の充実が必要だ。事業の成長に先立ち、人材面の強化が最重要課題と思っている。低温事業は幸い、今後ともかなり伸ばす事が出来る。現有人材の育成に全力を尽くすが、中途採用で新たな人材を多数迎え入れたい。2018年も引き続き中途採用の扉は大きく開いている。当社を舞台に冷凍食品・冷菓、デリカ、フードサービス、ライフネット等の低温業務をやってみようと思う方は、是非当社に連絡戴きたい。当社は大規模な統合で誕生した会社であり、まさに全員が中途採用で入社したようなものだ。意欲ある方の参加を心から歓迎したい。

〈冷食日報 2018年2月22日付より〉

【関連記事】
スーパーマーケットトレードショー2018 三菱食品は生酒「生冷(きれい)」を提案
冷食企業 17年度「増益」が6割弱、18年度は「成長」多数もコスト増に懸念―業界30社アンケート
〈冷食卸売アンケート〉2017年度冷食売上高、6割が増収達成