大手卸各社、利益商材への注力でコスト増をカバー 物流コストが上昇するも12月期の国分は増収増益

大手卸の決算はほとんどが3月期で、2018年3月期の発表は間もなくではあるが、17年3月期の7社のうち、4社が増収増益、2社が増収減益、1社が減収減益となっている。前期は6社が増収増益だったため、大幅な帳合移動が明暗を分けた格好となった。

ドライバー・トラックの不足で物流コストが上昇するなか、各社、ローコストオペレーションを強化した。またオリジナル商材の育成・得意先の問題解決などで、利益を確保する動きが目立った。

12月期の国分は、いち早く決算を発表。売上高は3.4%増、経常利益は21.6%増の増収増益となった。増収要因は、新潟酒販・深圳市一番食品のグループ化、ナックス、ヤシマ(一昨年グループ化)のプラス影響の通年化、既存取引先との取引伸長による。増益要因は、低温事業の収益改善、物流拠点における収支改善、酒税法改正による公正な取引の実施に伴う効果があった。

以下は17年3月期になるが、三菱食品の2期連続の増収増益。売上高は1.2%増だが、一昨年9月に子会社2社を譲渡したことが売上高を109億円引き下げており、実質では1.6%増(393億円増)にあたる。CVSを中心に取引が総じて堅調に推移し増収、売上高増加による売上総利益の増加で増益となった。

日本アクセスは、7期連続の増収、2期連続の増益。売上高は初めて2兆円を突破した。売上高経常利益率も1.01%と、3期ぶりに、卸のベンチマークとされる1%を超えた。戦略的パートナーであるファミリーマートがサークルKサンクスと統合し、商品統一を図るなかで売上増を牽引した。酒類もサークルKサンクスの分がほぼ純増となり、3.5倍に増えた。

三井食品は大口商内の喪失があったが、売上高は過去最高を更新した。DS・Drg業態、業務用卸・外食産業で売上を増やした。エリアでは関西で主力SMが大幅伸長して60億円増えた。20年3月期までの中計“ACT2020″をスタートさせ、経常利益率の向上を図る。

伊藤忠食品は、一部メーカーの帳合変更による影響が約500億円あったが、組織小売業との取引深耕や新規取引により、230億円の減少にとどめた。売上総利益は商流関係は、減収の影響が大きく7億円の減少、一方、物流関係で新たな量販店向け一括センターやギフトセンターの受注増により5億円の増加、計2億円の減少にとどめた。

日本酒類販売は、利益率の高い商品やジャンルに重点的に取り組み、物流費の高騰をカバーした。また、大分県酒類卸の合併効果と、バッグインボックスの受注製造が好調なNEWS社の黒字化など、子会社の好調で連結経常利益が伸びた。

なお、2017年のトップ人事では、国分グループ本社が、3月31日付で國分晃副社長が社長に就任した。三井食品は6月19日付で、萩原伸一副社長が社長に就任し、藤吉泰晴社長は代表取締役会長に就いた。伊藤忠食品は6月21日付で、髙垣晴雄取締役(非常勤)が社長に就任した。18年に入ってからは、伊藤忠食品が4月1日付で新社長に伊藤忠商事の岡本均代表取締役専務執行役員CSO・CIO兼CP・CITIC戦略室長が就任している。

〈冷食日報 2018年4月27日付より〉

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