日本水産とサバ料理専門店「SABAR」運営の鯖やグループが業務提携 国産養殖サバ原料を供給

鯖や・SABAR 右田孝宣社長(左)、日本水産 的埜明世社長(右)
〈外食・惣菜・通販向け監修商品の共同開発も〉
日本水産は1日、とろさば料理専門店などを営む株式会社SABAR(サバー)を擁する鯖やグループと、サバに関する業務提携について合意した。10日、東京・西新橋の日本水産本社で、的埜明世社長、(株)鯖やおよび(株)SABARの右田孝宣社長らが出席し、記者会見が開かれた。

鯖やグループは、『サバのある生活を提供すること』を企業ビジョンに「サバマーケット創造企業」として、(株)鯖やがサバ寿司などさば製品の製造・卸販売事業を、(株)SABARが「とろさば料理専門店SABAR」を、(株)クラウド漁業がさばの海面養殖事業を展開しており、さば製品の生産から販売までの一貫体制を特色とする。

両社では既に昨年10月、福井県小浜市で開催されたイベント「2017鯖のまちフェスタin若狭おばま海の駅」において、コラボレーションによるサバ缶詰2品(水煮・味噌煮)を発売。また、SABARと博多まるきた水産(日水関係会社)のコラボ企画としてSABAR店舗で「さば×明太子フェア」を実施するなどしていた。

今回の業務提携により〈1〉サバのメニュー開発(外食向け、惣菜向け、通販向けなど)〈2〉サバを使用した商品の共同開発〈3〉鯖や主催のサバに係るイベントへの協力〈4〉サバ原料の供給――といった活動を行う。

サバ原料の供給においては、日水が現在、鳥取県境港市の弓ヶ浜水産で確立を目指しているアニサキスフリーの陸上養殖サバの提供も視野に入れる。

なお、とろさば料理専門店のSABARは現在18店舗を展開。店舗では国産天然サバ中心に年間約300トン(550g 以上の大型のもの70トン、小型の若サバ230トン)を使用しているという。右田社長は2020年までに“サバ=38”に因んで38店舗の展開を目指すとした。

会見にあたりあいさつした日水の的埜社長、鯖やの右田社長は要旨次のように述べた。

的埜社長=当社と鯖やグループで“サバへの熱き想いへの共感”をしたことが今回の提携につながった。業務提携の狙いとして、当社は今年から中期3カ年計画「MVIP+2020」に取組み、その大きな課題の1つとして「美味しく健康につながる魚の新たな提案を生活者に届ける」と掲げている。

一方、鯖や様の課題は「サバの価値向上を実現し、サバのある生活、サバのある未来を築いていく」ということで、当社と鯖や様の課題がオーバーラップしていることが今回の提携に繋がった。

提携により、両社で互いのチャネルや得意分野を通じ、新しい提案を協業して行い、魚を、サバを、EPA をもっと身近なものにしていく。

両社のお付き合いは17年5月からで長くはないが、その間も幾つかの協業があった。今回主に4つの取組み(前述)を予定しており、まだ具体化までは至っていないが、既存にないマーケットを生み出したい。

右田社長=当社は創業から11年、サバ一本でやってきた会社。途中、サーモンの誘惑、ウナギのほほえみ、マグロが声をかけてきたりということもあったが、サバの食材としての力を信じて一本でやってきた。

5年前からサバ料理専門店SABARを展開し、それまでのさば寿司の製造販売卸から、飲食店運営に乗り出し、20カ国400のサバ料理レシピを提供している。月間5万人ほどのお客様が来店し、専門マーケットにおける年齢、価格、人気メニューのABC 分析が強みだ。また、食べ方提案のほか、イベントを通してサバを食べる機会、タッチポイントを多く仕掛けてきた。

日水様との提携で、我々にない組織力・販売力・調達力・提案力をお借りして、マーケットにサバの商品をリリースすることが、我々のミッションであるサバの価値向上にも通じる。

今後、全国のサバのご当地料理を分かりやすい環境で提供する場を作ったり、SABARをもっと展開し、サバの商品力を上げたり、これまで価値がないものと軽視されていた小さなサバに価値を付けたり、価値のあるサバにさらなる価値を付けたりといった活動に取り組んで行きたい。日水様のような企業と提携させていただけることには感謝しかなく、サバ一本でやってきてよかったと感じている。

〈冷食日報 2018年8月17日付より〉