オンリーワン商品の開発に向け技術を究め、自社商品について語れるモノづくり集団を目指す、キユーピーグループのコープ食品東北工場(福島市)。キユーピーフードサービス本部が販売する調理・素材・デザートの3カテゴリーを製造する同工場は、NB・PBの幅広い製品対応と製造対応で市場開拓を進めている。11年の震災以降、生販の取り組みでV字回復を果たした業務用素材豆を筆頭に内・中・外食への提案力を強化しており、販売先の様々なニーズに技術で応えていく。

キユーピーは9月26日、弊社など9社の専門紙が参加するコープ食品東北工場見学会を開催した。福島県福島市にある同工場は、調理食品(冷凍含むソース、スープ)、素材食品およびデザート食品(冷凍含む)の製造工場。調理ソース「オマールソースベース」、デザート「ごろっと果実いちごのソース」、業務用素材豆「ミックスビーンズ(ガルバンゾ・マローファットピース・レッドキドニー)」製造ラインの見学と各カテゴリーの販売施策について説明を行った。

コープ食品の創業は1961年。農家の収入安定のために、農産物を加工食品として販売し普及を図ることを目的に、全国販売農業協同組合連合会(現・全農)の依頼を受け、日本冷蔵(現・ニチレイ)とキユーピーが共同で設立した。翌62年に東北工場をキユーピーが、九州工場(熊本市)をニチレイが受け持つ形で稼働開始したが、その後、資本整理が行われ、現在はキユーピーの完全子会社となっている。見学会の冒頭、説明に立ったコープ食品の富田仁一社長は「稼働開始から57年目を迎えた歴史ある工場。オマールエビの抽出技術など強みを生かし切る会社と関わる全ての人が幸せを感じる会社を目標に掲げ操業している」と話した。
コープ食品・富田仁一社長

コープ食品・富田仁一社長

同工場は11年の震災時に前年の35億円から30億円弱まで落ち込んだが、近年は39億円程度で推移。包装ライン増強など設備投資を行ったため、今後は利益確保を目指すという。販売先別では7割を業務用が占め(うちPBは半数)、次いで家庭用、ヘルスケアの順。

カテゴリー別では調理食品31%、素材44%、デザート25%。16年まで調理食品がトップだったが、サラダのトッピングなど外食や中食を中心に新たな取り扱い先が増えた、素材豆のウエートが拡大した。素材豆の売上高(家庭用商品含む)は15年8.5億円、16年9.8億円、17年11.5億円。生産数量は16年時点で、2,000トンを超えている。

「ミックスビーンズ」(パウチ品・常温)の製造工程は原料保管、ボイル、選別・検査、充填、重量・異物検査、殺菌、包装。豆の産地は北米・NZなど。乾燥した状態で選別された豆は一晩かけて水戻しする。ボイル工程は水から行う、最後に加熱殺菌を行うため、固めにゆで上げる。目視による選別・検査工程を経て、充填工程で計量し、調味液(食塩水)と共に袋に詰める。併せて窒素を充填し、酸素濃度を低下させることで豆同士のくっつきを防止する。密封された商品は高温・高圧のレトルト釜に入れて殺菌。温度や圧力をコントロールすることで、内容物の品質を保ったまま殺菌を行い、退色を防ぎ、豆の風味や絶妙な食感を保つとした。

素材豆の販売施策として、豆を豆としておいしく食べる「魅せる豆」と、豆を新しい使い方で食べる「隠れる豆」の2軸展開する。キユーピーFS本部商品部加工食品チームの部田雅仁氏は「グループのサラダ・惣菜を製造販売するデリア食品も含め、内食に向けた家庭用戦略と中食(惣菜・弁当)・外食(外食・給食)に向けたFS戦略を連動させる」と話した。「魅せる豆」では学校給食の食育授業に活用、またパワーサラダのトッピング用として業務用向けに使用を啓発中。「隠れる豆」としてはひよこ豆のペースト「フムス」を提案し、さらなるシェアの獲得と新しい豆文化を広めることにも注力していくとした。

コープ食品・東北工場外観

【工場概要】
▽住所
=福島県福島市瀬上町字南中川原12‐1
▽土地=3万7,000平方メートル
▽建物=1万6,800平方メートル
▽製品アイテム=251アイテム/年
▽生産数=7,213トン
▽従業員数=260人

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〈冷食日報 2018年10月18日付より〉