〈冷食流通インタビュー・小売〉イオンサヴール、ハレの日だけでない提案も順調 出店4割、中身の強化6割で取り組む

〈イオンサヴール 小野倫子社長〉
――2018年の販売状況は

振り返ると、クリスマスやパーティーシーンなどと併せて野菜素材で注目された1年だった。好調なのは、クリスマスやギフトが特に好調だった。商品では、クロワッサンが年間を通じて順調に推移した。毎日食べるものとして定着し始めているように感じる。また、ハレの日の提案だけでなく、素材加工品の提案も進みつつある。昨年の新規出店は2店舗だけだが、立地にも恵まれて売り上げは予定した成長計画に対してきちんと進んだ。

――現在の取り組みは

フランスの場合は、フルラインナップで1000品目をそろえている。日本は200品目からスタートし、今は300品目以上をそろえている。昨年はどのような商品を増やすか色々と模索し、その中で「ピカールと各地方をめぐる フランスおいしい旅」という取り組みは上手くいった。月ごとにテーマを決め、売り場の商品展開を行った。各地方の料理やメニューを知ってもらう機会にもなる。例えば、ブルゴーニュ地方の名物料理“エスカルゴ”やボルドー地方の名物料理“カヌレ”など、現地の味を知ってもらうチャンスになり、こうした提案がうまく回り始めている。

――好調な商品は

クロワッサンが年間通じて順調に推移している。焼く直前の状態で冷凍しているため、焼き立ての状態を食べられる。特にネットでの販売が好調だった。家で焼くからこその楽しみを、ライフスタイル提案としても続けていく。季節性を意識した商品も堅調に推移し、売り上げの上位に入ることも多い。

――商品開発の特長は

商品はフランス現地のメンバーが日本の工場で協力して商品を作ることがある。商品によっては輸入できないものもあるため、本場の味を再現できるよう取り組んでいる。例えば、「牛ひき肉のパルマンティエ」は、肉の食感や味は本場の味だ。フランス料理が素材を生かした味付けなので、その考え方が冷凍食品にも表れている。価格もスーパーなどよりも高いため、一見すると敷居の高い商品だ。しかし、調理時間や素材のコストに加えて、味の良さを考えると非常にリーズナブルだと思う。より多くの方に伝えるためにも試食をよりしっかり行っていく。

――和風の味付けのメニューなどの検討は

ローカライズは将来的に取り組まなくてはと思うが、今のピカールで肉じゃがなどを作ってもあまり支持をされないと感じている。まずは今の商品をしっかりと育てていく。

――今年の取り組みは

イメージとして店舗出店は4割、中身の強化が6割の力加減になると思う。出店については、昨年よりも多くなる予定だ。店舗の数をただ増やすのではなく、中身をブラッシュアップし、訪れる方に日々使ってもらえる店づくりをできればとは考えている。

まずは首都圏での提案をしっかりできるようにする。首都圏以外の地域はネット通販で提案を進めていく。通販は自社サイトのみだが堅調に推移している。最近では店舗への来店をきっかけに、ネット通販でも定期購入してくれることもある。

出店時に近隣の方の利用を中心として想定している場合は、日々頼りにされる冷凍庫として活用いただけたら嬉しい。他の地域からのアクセスが良い店舗では、他の買い物とついでとしても利用していただければと思う。

商品については、年間で100品増やしたいと考えている。現在扱う約300品の中にない商品のリクエストを利用されてる方から受けることもある。当社のラインアップから欠落しているものや、愛用している方からの期待に応え、他では買えないものをしっかり提供する。強みは伸ばしつつ、足りない部分を補えるよう商品を増やしていく。

〈冷食日報 2019年2月25日付〉