〈冷食流通インタビュー・小売〉ライフコーポレーション・三浦教興氏「ライフコーポレーションギョーザなど中華系が2ケタ増、他にはない商品に期待」

ライフコーポレーション近畿圏食品日配部日配食品課チーフバイヤー・三浦教興氏
――今期(2020年2月期)の冷凍食品の販売状況は。

12月までの累計で既存店1.7%増、全店で3.0%増となっている。2018の下期が定番商品の値上げなどの影響で不調だったのだが、2019年春から戦略を打ち直して、9月から数字は持ち直してきている。

カテゴリー別では中華・食卓が12.0%増、冷凍麺が4.7%増、冷凍野菜が2.9%増、和風スナックが1.3%増、洋風スナックが0.2%増、米飯が3.2%減、弁当は前年並みだ。中華・食卓は、定番のギョーザが堅調であることに加え、味の素の「しょうがギョーザ」が発売されたことでさらに伸びた。冷凍麺も玉うどんが比較的好調な上、キンレイの「お水がいらない」シリーズが順調に伸び続けている。

冷凍野菜は、ベースのホウレン草などは横ばいだが、枝豆やポテトなどのおつまみ系のものが売れている。一方で、米飯は大袋のチャーハンの伸びが鈍化していることもあって前年を割っている状況だ。また、当社ではPBも販売しており、枝豆やサトイモなどの冷凍野菜が伸びている。

――今期の取り組みは。

上期は価格で勝負できるギョーザやうどんの価格訴求を積極的に行ったことで売り上げを持ち直した。下期は、暖冬対策に早くから取り組んだことが奏功した。例年なら10月頃から、鍋のシメなどに使われる玉うどんを売り込んでいくのだが、その代わりに季節があまり関係ないパスタを売り込んだ。実際、鍋の需要は例年に比べて少なく、うどんや乾麺は伸び悩んだが、パスタは堅調だ。今後は暖冬が普通になってくるかもしれない。早めの対策が必要となる。

一方で、弁当は158円均一のEDLPで販売しているのだが、活性化が弱かった。ボーナスポイントの付与などでぎりぎり前年を維持しているが、弁当類は売り上げの大きな割合を占めるので底上げしたかった。売価ばかりではなく、メーカーと協力して当社オリジナルの増量商品を作るなどの取り組みが必要だ。

――注目している商品やカテゴリーは。

昨年の新商品では、「しょうがギョーザ」が好調だ。また、ニッスイの「梅ひじき」と「枝豆こんぶ」のおにぎりも定着してきている。ワンディッシュのプレート系の商品にも期待しており、当社ではPB商品としても販売している。販促をかけるときっちりと売れる。また、水産部門を中心に展開しているミールキットも最近需要があり、取り組みを強化している。

一方で、青椒肉絲などのレンジで作るキット商品はやや割高感が否めない。CVS(コンビニ)で冷凍食品を買っても、SM(食品スーパー)ではおかずは惣菜コーナーから選ぶというお客が多いのではないか。

冷凍食品の新商品を見ても、まったく新しい商品というのは減ってきている印象がある。「激辛」や「大盛り」といったキーワードの商品が増えており、他には見られない独自商品が少ない。

今後は介護食や離乳食に注目している。冷凍食品は現在、簡便でおいしいという部分が注目されて伸長しているが、あまり出ていない健康基軸の商品が増えれば面白いとも考えている。

――今後の取り組みについて。

より簡便性の高いプレート商品や、冷凍野菜などの素材系の商品は今後も伸びるだろう。また、ミールキットを冷凍食品売り場でも展開していきたい。このほか、EDLPの売価見直しやより積極的なポイント活用も必要だろう。

当社では、「ピザレボ」というアッパーな商品も並べており、価格の割によく売れている。冷凍食品は今後ますます伸びていく分野だが、まだ他のカテゴリーのように価格帯によるアッパー、ベーシック、安価という商品の振り分けがあまりされていない。冷凍食品市場全体がより成長すれば、価格帯ごとの商品展開も出来、より活性化すると考えている。

〈冷食日報2020年3月4日付〉