外食企業の新たな戦略、冷凍商品の通販で売り上げを確保へ

凪スピリッツの冷凍ラーメンセット
外食チェーンで冷凍商品を新たに販売する企業が増えている。緊急事態宣言で来店者の減少や、一時休業に踏み切る会社は増加傾向にある。自社商品を喫食できる機会を広げて売り上げの確保にもつなげたい考えもある。企業によっては取り組みを始めたばかりにもかかわらず、在庫切れになるなど順調な推移を見せる。

2月後半から外食産業の売り上げは大きく落ち込んだ。日本フードサービス協会によると、売り上げが5割以上落ち込むチェーンもあったという。最近は需要の高いテイクアウトやデリバリーを強化する動きが活発になっている。

冷凍食品の需要も増えている。3月の冷凍食品POSデータ(KSP-POS調べ)では、全体の販売金額は前年同月比20%増と大きく伸長している。中食や内食の需要は高まっており、自社商品の冷凍商品やチルドなどで販売する企業も出てきている。

〈来店客は減少 来られない人に向けて〉
世界で52店舗出店のラーメン専門店「ラーメン凪」を運営する凪スピリッツ(生田悟志社長、東京都新宿区)は、自社工場の製品を急速冷凍したラーメンセットなどを自社オンラインショップで発売を始めた。

商品は店舗で提供の「すごい!煮干ラーメン」のお土産セットや、油そば、メンマとチャーシューのセットをそろえる。冷凍保存なら賞味期限は30日。

PR担当によると、「繁華街に店舗を多く出店していて、今後の来店者の動きが見えない。今回の開発も急ピッチで行った」という。

テイクアウトやデリバリーを同社は強化しており、今回の冷凍商品の販売は新たな挑戦だ。元々、別会社では冷凍麺を納品しており、この技術を用いて店舗と変わらない味を提供できるようにした。

ベーカリーカフェ「パンとエスプレッソと」などを国内で展開する、日と々と(山本拓三社長、東京都渋谷区)も、自社ECサイトで冷凍パンなどを取り扱う。冷凍パンの販売は初めて。

「パンとエスプレッソと」食パンのセット

「パンとエスプレッソと」食パンのセット

 
商品は人気の食パンのセットやフレンチトーストのセットに加え、商品のおまかせセットなどを販売する。
 
現在、店舗はイートインを中止してテイクアウトのみを行っている。しかし、「来店される方は減っている」(広報担当)という。
 
今回の取り組みは売り上げの確保に加えて「今まで店に来られなかった方や、近くに住んでいても外出は控えたいという方にも、パンを楽しんでほしい」という思いから取り組む。現在は「想定以上の売り上げ」となっており、「商品の供給をできるだけ早く行っていく」と話す。
 
〈「生産者の支援に」冷凍商品を販売〉
居酒屋「塚田農場」を手掛けるエー・ピーカンパニーは、自社ECサイト「おうち塚田農場」を立ち上げ、契約農家の商品を販売している。オイシックス・ラ・大地の食品宅配サービス「Oisix(オイシックス)」でも一部食材の販売を行う。
 
今回の商品は「原価を考えると、実は当社にとってはそこまで大きなプラスにはならない。でも、お願いをして作ってもらっていた生産者の方の支援になればと思い取り組んだ」と話す。
 
商品は鶏のしゃぶしゃぶセットなどで、同社の加工会社では販売していた。しかし「知る人ぞ知る商品みたいになっていた」という。
 
「今回販売の商品はこれをもとにした。より広い人に知ってもらいたい」と力を込める。
 
オイシックスでの販売は「1日の販売数を限定しているが、それがなくなるほどの推移」(広報担当)と話す。
 
スーパー各社でもこの3月、冷凍食品の需要は伸びたという。イオンは2桁増で推移した。イトーヨーカ堂も全体的に前年を上回った。ライフコーポレーションの首都圏の既存店の動向は、前年同月比で40%近く伸長した。
 
新型コロナウイルスの猛威はまだ収まる気配を見せない。家で楽しめるちょっとした贅沢として、こうした商品を楽しむのも心の安らぎになるかもしれない。
 
〈冷食日報2020年4月20日付〉