農水省は11月5日、日本の食産業の海外展開推進を目的とする「グローバル・フードバリューチェーン(GFVC)推進官民協議会」の全体会合をオンラインで開いた。鮮度保持技術を活用した輸出に関する海外展開の取り組みをテーマに、令和2年度第3次補正予算事業「海外フードバリューチェーン再構築緊急対策事業」に採択された事業について3事業者が報告した。シンガポールへの冷凍ミールキットの輸出や、越境ECによる小ロットで販売マージンのかからないコールドチェーン構築について事業主体から報告があった。

JTBが代表を務める「日本食冷凍ミールキット海外販売プロジェクト」は国内の生産者の参画促進と輸出商材の選定に始まり、冷凍輸送、輸出入業務、現地冷凍保管から現地販売方法、ターゲット層への訴求などブランディングリサーチまでの実証を目的としたプロジェクトだ。アグリ・テック企業のWe Agri(東京、岩藤健二代表取締役)とABC Cooking Studioの関連会社であるABCモールが参画している。

同プロジェクトではシンガポール市場をターゲットに日本食冷凍ミールキットの輸出の可能性を探った。7月と9月に国産商材を募集し、ABCの料理教室で試食選定会を開き、国産果物を原料にした冷凍食品や日本産米を原料にした冷凍食品、水産を原料にした冷凍食品を選定した。シンガポールの輸入規制に留意しながら、商品情報シートをもとに、パッケージ、調理のしやすさ、食べやすさなどを検討したという。

商品開発の段階から伴走する地域商社的な存在を確立することが必要で、今回は現地ABCの料理教室で先生や生徒にアンケート調査を行ったが、市場ニーズの把握も重要な課題とした。今後展示会やJTB主催の現地商談会で販路拡大に向けた取り組みを行う。

物流については20フィートコンテナでの輸送コストの比較や、現地での冷凍配送を検証した。今回は航空便を使ったが、高い運賃が課題。さらに大きな課題が、シンガポールでは冷凍配送がまだ確立しておらず、発泡スチロール箱にドライアイスや保冷剤を入れて配送する方法が主流ということ。現地の冷凍冷蔵倉庫によるワンストップ化や、ドライアイス・保冷剤を入れた保冷シッパーの活用が必要だとした。

日本酒の中国向け越境ECを手掛けるオープンゲートは日本酒のコールドチェーンによる中国輸出の実証実験を行っている。温度変化を記録する「温度ロガー」を使い、現地の課題である温度管理を担保しようという取り組みだ。

冷凍・冷蔵食品の越境通販サプライチェーンを構築することで、酒類だけでなく日本食品も小ロット・適正価格で販路を拡大することが出来ると見込む。来期には天猫TMALLのプロジェクト参加を実現したい考え。冷凍の米飯や麺類、スナック、デザートなどの越境ECも見据えている。

〈冷食日報2021年11月9日付〉