フードデリバリーで日用品、各社が料理以外のラインアップ強化、“デリバリーの日常化”目指す

フードデリバリーで日用品、各社が料理以外のラインアップ強化、“デリバリーの日常化”目指す(画像はイメージ)
フートデリバリー事業者が料理以外の配達を強め始めている。コンビニ商品の配達から、徐々にスーパーや百貨店、ユニークなところではチョコレート専門店の商品にも手を広げている。ネットでの注文のみを受け付ける小売店「ダークストア」を展開する事業者も出ており、競争はフード以外にも広がり始めている。

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〈広がる「ダークストア」、日本でも〉
フードデリバリーの市場は世界的に伸長し続けている。日本でもコロナ禍により急激に利用が広がり、街中で配達員の姿を見ることは珍しくなくなった。ただし、フードデリバリーは昼食と夕食の時間帯に注文が集中しやすく、ドライバーは他の時間帯は手持無沙汰になりやすい。

一方、日用品などの配送の場合、一日を通じて一定の注文を見込める。ドライバーとデリバリー事業者の双方にとってメリットがあり、デリバリー事業者は自社で小売などの拠点を設けるほか、コンビニやスーパーなどとの提携に力を注いでいる。

ネットからの注文のみを受け付ける小売店「ダークストア」の展開を積極的に行っているのは「foodpanda(フードパンダ)」だ。ダークストアでは、消費者が来店しても商品は購入できない。海外では広まりつつあるという。日本では2021年7月に「フードパンダ」がサービスを開始し、次いで「OniGo(オニゴー)」が8月にスタートした。

フードパンダは「pandamart(パンダマート)」という名前で展開を進めている。レトルト食品や冷凍食品、スナック菓子などの食料品から、トイレットペーパーなどの日用品まで約2000アイテムをそろえる。11月末時点で、東京や大阪、神奈川などで10店舗を展開している。売上は想定通りに推移しているという。

日本で「フードパンダ」を運営するDelivery Hero Japan(デリバリーヒーロージャパン)で、チーフコマーシャルオフィサーを務める奥江靖氏は、ダークストアについて「例えば米は、定期的に必要になるため注文時期が決まっている人も多い。しかし、ちょっとしたものを急に食べたくなった、調味料を切らしてしまったなど、買い物に出るには少し面倒というニーズに応えられるのでは」と期待を寄せる。今後2年以内に100拠点の設置を目指す。

本体の「Delivery Hero(デリバリーヒーロー)」では、すでに世界で200拠点を展開しており、最近では独・ベルリンの生鮮食品デリバリー企業「Gorillas(ゴリラス)」に出資するなど、この分野の強化を進めている。

幅広い店舗の加盟を進めている「Wolt(ウォルト)」も、12月2日に北海道の札幌市内でダークストア「Wolt Market(ウォルトマーケット)」を設置する。ウォルトのダークストアは海外の3カ国12拠点で展開しており、生鮮食品も扱っている。札幌の拠点では、食料品や日用品を約2000品目そろえる。生鮮品は、地元で食肉の製造・卸売を行う会社や青果の卸などを営む企業が厳選したアイテムも展開する。

小売店の加盟も進めている。コンビニはローソンやポプラ、セイコーマートが加盟し、ドラッグストアはツルハが参加している。ほかにも化粧品のラッシュや、家具のイケア、ホールセールのコストコ、百貨店は広島市内のそごうと三越などを展開している。ドラッグストアなどでは医薬品の販売も開始している。小売店との提携は国内でもトップクラスの規模感を誇る。

Wolt Japan(ウォルトジャパン)でリテール事業統括責任者を務める高木慶太氏は「サービス開始当初から、『ポケットにショッピングモールを』という構想で展開している。利用しやすいサービスの提供を今後も進めたい」と述べた。

〈小売との提携や独自サービスを各社とも強化〉
「Uber Eats」も小売店との関係性を強めている。コンビニはローソンとファミリーマートで導入されており、スーパーは西友や成城石井、ビオセボンなども名を連ねる。また、エノテカやカクヤスなど酒類を販売しているところや、チョコレートで有名な「ゴディバ」も加盟している。コストコの配送も開始した。ローソンでは約2000店で導入されており、「近いうちに3000店まで増やしたい」(Uber Eats Japan、New Vertical事業部門ゼネラルマネージャーのユリア・ブロヴキナ氏)と意欲を見せる。

今後の取り組みとして、「Uber Direct(ウーバーダイレクト)」という、小売店などの配送代行のような仕組みを、日本でも導入を予定している。現在はパートナー企業らとの交渉を進めており、「近い将来にローンチできれば」(ユリア氏)と話す。

Uber Eatsのダークストアは、海外では一部の国で実施している。また、フランスではスーパーチェーンのカルフールと、グローサリー専門の配達サービスを展開するカジューの3者間で契約を結び、15分以内に食料品などを届けるサービスを開始している。日本でのダークストアの実施については、「計画として発表できるようなものはないが、注目はしている」(ユリア氏)と語った。

「出前館」は、オフィス用品などの販売を行うアスクルと共に、日用品や食料品の即日配送サービスの実証実験を行っている。時間帯によっては注文が少なくなるため、配達員から不満の声もあったという。現在はどのような商品が売れやすいのか、どの程度運べるのかなどを調べ、今後の展開を検討する。執行役員兼加盟店コンサルティング部部長の大枝千鶴氏は「フードの注文が減る時間帯に、食事以外の注文も受けられるような状況を作れれば」と話した。

〈市場の先行きは読めないが、競争はより激化か〉
緊急事態宣言が解除され、飲食店への客足は戻りつつある。その中でフードデリバリーは、「現状、そこまでの落ち込みは見られない」(関係者)という。

デリバリーが活発な米国や中国、韓国と比べて、日本のデリバリー利用はまだ低い水準にあるため、市場に成長の余地があるとの見方も強い。ただし、利用者にとってネックとなる配送料などにどう対処するかは、今後も利用を継続してもらう上で無視できない。事業者によっては日常的に利用する人にメリットがある、定額利用サービスを導入しているところもある。

また、スーパーと比較した際に価格面で少し高いというところも、今後の利用の定着を図る上では無視できない。どのように日常的に利用してもらえるサービスに育てていくか、各社の競争はまだ続きそうだ。