味の素冷凍食品・黒崎社長「餃子の市場ポジション上げる」/2021年度業績説明会

味の素冷凍食品2021年度業績説明会、左から桐原正和生産本部長、黒崎正吉社長、伏見和孝マーケティング本部長
味の素冷凍食品は5月24日、2021年度の業績説明会をオンライン上で開催した。

2021年度の売上高は1,017億円で前年比1%増、事業利益は70億円で前年を1億円下回った。売上総利益率(GP率)は前期3.1pt増と大幅に改善したのに対し、さらに0.3pt増と前進した。ROIC(投下資本利益率)は大阪工場閉鎖による減損影響で前年比2.2pt減の2.7%となったが、実質向上している。

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黒崎正吉社長は「事業構造強化が進み、単年度の数字も達成した。狙い通りかそれ以上の成果を出せた」と総括した。売上高は計画を2%上回った。業務用やキーアカウント(CVS/コンビニエンスストアや生協など)部門は減収だったが、FFAとしての海外事業(中国・タイ)の輸出が増えたためだ。

同社は「3つの改革」として、
〈1〉事業ポートフォリオ転換
〈2〉ビジネスユニット構造転換
〈3〉生産戦略の転換
――に2020年度から取り組んでいる。

「事業ポートフォリオ転換」について2021年度は、
〈1〉コア3領域(餃子、焼売、スイーツ)の継続拡大
〈2〉戦略2領域(米飯、鶏肉)の収益性強化
〈3〉ネクストコア領域としてハンバーグ育成の大幅進展
――が見られた。

餃子と焼売は安定成長を続け、スイーツは前年大幅減の反動もあり2桁以上の伸びとなった。「スイーツは2019年度並みには届いていないが、2022年度はフードサービスの回復とキーアカウントの積極化で2019年度を上回る計画」(黒崎社長)としている。

ハンバーグは2桁以上の伸びとなった。「ザ★ハンバーグ」が主体だが、同時に洋食亭に販売も伸び、両輪となって市場拡大に寄与した。GP率は計画には届かなかったが、構造強化の成果が着実にあらわれているとした。事業利益は構造強化経費を4~5億円計上し、為替影響で前年比2億円以上のマイナス影響がある中、実質増益といえる。

事業構造強化が着実に進展した。高付加価値製品の拡大と不採算品の縮小などにより、単価は前年比2.9pt向上した。

「BU構造転換」に取り組み、家庭用、業務用、キーアカウントの各ユニットはいずれも増益となった。家庭用は厳しい競争環境のもとでも増収増益を確保した。業務用は減収減益。業務用では不採算SKUの終売や値締めを断行した一方、スイーツや餃子など主力品の拡大もあり構造強化が進んだ。この2年間で業務用では2019年比166SKU削減している。

キーアカウントは減収増益。キーアカウントでは付加価値の高いビジネスモデルへの転換を図っている。2021年度は3大CVSに家庭用スイーツの導入を実現した。

資産の効率化も進んだ。在庫削減とアセットライトにより総資産は前年比6%減となった。米飯の大阪工場の閉鎖の影響が大きい。一方で米飯では千葉工場に、19億円を投じて生産性の高い低炭素型の第2炊飯ラインを導入した。

〈2025年度にROIC9%台後半を目指す〉
22年度は売上高が前期比2%増1,033億円、事業利益が2億円増の72億円、GP率0.5pt増、ROICは4.5pt増の7.2%を見込む。

売上げは家庭用とキーアカウント部門で増収を見込む一方、フードサービスなど業務用は引き続き減収。「キーアカウントは23年度から伸ばす予定だったが、この部分の事業構造強化はおおむね終了したため、1年前倒しして伸ばしていく」(黒崎社長)。

コア領域の餃子・焼売は、製品ラインアップの強化と戦略的マーケティング投資を行い、市場ポジションの強化に取り組む方針だ。黒崎社長は「餃子は2021年度、売上げは伸びたが、マーケットシェアは若干落ちた。2022年度は利益額を伸ばすとして、一部利益率を抑えてでもマーケットポジションを上げていく」と話した。

鶏肉、米飯は独自価値製品への集中を進める。ネクストコア領域としてハンバーグの育成継続のほか、健康志向にこたえる「野菜デリ」を強化する。野菜デリとしては中華丼の具など既存品のほか、新規カテゴリーにも挑戦する模様。

ROICは2021年度に実質6.1%まで向上しているため、実質1.1ptの上昇を目指す計画となる。「2025年度には9%台後半を目指す。2030年度には最低でも2桁台を実現できる準備を進める」方針だ。

〈冷食日報2022年5月25日付〉