本紙は全国の酒造メーカーに対し、毎年恒例の酒造技術や市場予測に関するアンケートを実施した。アンケートの主な項目として、①「自蔵の目指す酒造りに最も適した米」②「酒造技術的な観点から注目している商品、あるいは酒蔵」③「海外輸出で今後さらに拡大が期待できる国・地域」④「外国人に売れると考えられるお酒」⑥「ブームとなっている甘酒の今後の市場予測」について尋ねた。それぞれの分野における最新の動向を探っていく。

①「自蔵の目指す酒造りに最も適した米」は何か。“酒米の王様”として有名な山田錦は、「全国新酒鑑評会」の出品酒に用いられることが圧倒的に多く、いまや清酒に馴染みのない人にもその名前を知られるほど、酒造好適米の中でも抜群の知名度を誇っている。本紙のアンケートでもダントツの人気と思われたが、回答としては、その他が最も多かった。確かに、単独の銘柄では山田錦は圧倒的にトップだが、目指す酒造りに最も適した米という場合は県産米の支持が高いことがわかった。

アンケートでは、銘柄別生産量の多い順に、山田錦、五百万石、美山錦、雄町の4銘柄と、その他の項目から1つを選んでもらった。なお複数の米の回答があった場合もカウントした。

山田錦と回答した酒蔵は44.7%だった。造りの面での使い勝手や酒造適性の優秀性に惚れ込む声が目立った。「良い酒ができる」「精米特性、製麹特性、醪での溶解性などの酒造適性が優れているため」「酒造りに最も適していると思われるから」「造りたい酒の設計図に応えてくれる。万能」「使いやすい」「製麹のしやすさと秋落ちが皆無に近いことから」といったものだ。

旨味や味わいという点でも絶大な信頼を集める。「米の旨味を十分に引き出せる米」「旨みの格が違うため」「特に味が良くなる」「日本酒の個々の味わいの要素をなめらかにまとめあげ、ふくよかな味わいになるから」「溶けやすい、ソフトな味に仕上がる」「芳醇な香味が出せる」といった回答が寄せられた。

ほかにも、「素晴らしい熟成が期待できるから」や「全ての面において、山田錦を超える酒造好適米が存在していないから」と高く評価されている。

その他は半数の50%が回答し、地元の酒米が多く上がった。「地元オリジナルの好適米」「県産米」「適した米というよりも地元の酒米を主として使用していきたい」「地元産の米で」といったものだ。

具体的な酒米を挙げたところでは、「地産地消にこだわりたい為」(秋田酒こまち他)、「産地ブランドにこだわりとセールスポイント及び自身が栽培者ゆえに」(五百万石、越淡麗)、「地産地消。地元の米を使い、お客に喜ばれるお酒を造る」(青森県産華想い)、「地産地消の取り組みの一環。地域貢献」(吟風、きたしずく)、「地元産の酒造好適米へのこだわり」(雄山錦)。

特に山形、秋田、岩手などの東北エリア、広島で地元産の米を積極的に使っている。山形県の酒米である出羽燦燦については、「山形県産酒造好適米」であること、「ふくらみがあって、やわらかく、後味のキレが良い」と評価。「岩手県オリジナルの酒米なので」(ぎんおとめ)、「豊かな旨みと後味が軽く上品な酒質」(秋田酒こまち)、広島県で誕生した八反錦は、「最も県内で生産されている好適米であるため」「旨味が出る」といった特徴を強調している。

このほか、独自性を出すためと「兵庫北錦」を挙げる蔵や、「品質が良い酒ができる。当社が自ら交配から品種登録までした品種である」(白鶴錦)といった回答が寄せられた。

山田錦に次ぐ生産量の五百万石(7.9%)は「当社の酒造りに適しているので」、雄町(2.6%)は「特徴があり、味の強い濃醇旨口のお酒に向いている」といった点で支持。美山錦を挙げた酒蔵はなかった。

(以下、本紙にて)