帝国データバンク、日本国内のワイン製造業者の経営実態調査発表

帝国データバンクはこのほど、日本国内のワイン製造業者の経営実態調査の結果を発表した。

同調査は同社の信用調査報告書ファイル「CCR」や外部情報などを基に抽出したワイン製造業者のうち、2017年8月時点の企業概要データベース「COSMOS2」に収録されている206社を抽出・分析した。なお、葡萄酒醸造を行う企業全てを「ワインメーカー」として分析。このうち、「果実酒醸造業」を主業とし、葡萄酒醸造を専門に行っている企業を「ワイナリー」として分析した。

ワインメーカー206社を本社所在地別にみると、最多は山梨県の69社(構成比33.5%)。中でも「ワインリゾート構想」などで特にワイン産業が集積している甲州市(33社)、笛吹市(14社)、山梨市(12社)の3市に集中している。以下、長野県の19社、(9.2%)、北海道の18社(8.7%)、と続き、上位3道県で全体の5割を占めた。

山梨県の「甲州」、長野県の「メルロー」、北海道の「ピノ・ノワール」など、上位3道県はいずれも国内有数のぶどう栽培地、銘醸地でもあり、こうした高品質なぶどう栽培・ワイン醸造に適した環境の他、「ワイン特区」などの行政による支援が、ワイナリーの集積に影響している。また、5位には東京都がランクインしているが、メルシャンや富士山ワイナリーなどの大手ワイン専業メーカーの他、サッポロビールやニッカウヰスキーなどの大手酒類メーカーが見られた。

ワインメーカー206社のうち、果実酒製造業を主業とし、葡萄酒増場を専門に行っている「ワイナリー」138社を集計、分析したところ、設立年代別で最も多かったのは「2000年代」の23社(構成比16.7%)、「2010年代」の13者(9.4%)と合わせると、2000年以降に設立されたワイナリーが全体の4分の1を占める。2000年代に全国へ拡大したワイン特区制度が、ワイナリーの新規参入を後押ししていることも要因の1つに挙げられる。

「2000年代」に次いで多かったのは、東京オリンピックを始めとする国際交流を通じ、本格的なワインに対する認知度が高まり、飲用が広まった「1960年代」で18社(13.0%)。戦前の「1930年代」には17社(12.3%)、戦中の「1940年代」には10社(7.2%)とこちらも多いが、軍需に対応するためと考えられる。

従業員数別で見ると、最も多かったのは「5人以下」で75社(54.3%)、次いで「6人~20人」が44社(31.9%)が続き、従業員数20名以下の小規模ワイナリーが全体の86.2%を占めた。これらの小規模ワイナリーの中には、自社畑に特化し、ぶどう栽培・醸造を一貫して行うドメーヌ型のワイナリーや、家族経営によるごく小規模なワイナリーも見られた。

代表者の年代別にみると、最も多かったのは「60代」と「70代以上」がそれぞれ34社(29.6%)。「50代」の27社(23.5%)がこれに続き、50代以上で全体の8割を占めている。(続きは本紙で)