クラフトビール大手のヤッホーブルーイングが6月に調査した結果によると、「クラフトビール」の認知率は4割を超えた。うち、4人にひとりが月に2~3回以上、継続的に飲用しているという。

「クラフトビール」を飲む機会が増えた理由のトップは「スーパーで買えるようになったから」。次いで「クラフトビールが飲める飲食店が増えたから」だ。

確かに、かつてはハイエンドなスーパーや専門店でしか手に入らなかったクラフトビールはすっかり身近なものとなった。キリンが首都圏の料飲店で展開する「タップ・マルシェ」は来月にも年内目標の1,000店を達成する見込みだ。クラフトビアバーだけでなく、日常的に楽しめるアイテムとして料飲店でも定着しつつある。

さまざまなスタイルやこだわりなど、これまでのビールにはないブルワリーの個性が、新しい価値として認められる一方で、「市場はすでに飽和状態にある」と危惧する関係者も多い。

クラフトビールの金額シェアが2割を占めるアメリカ市場でも、昨年は勢いが減速。ブリュワーズ協会は「成熟期」と見るが、大手ビール会社トップによる「飽和状態」「過剰供給」という言葉が消費者や売場の困惑を表現しているようにみえる。

日本にも今年、8月末までだけで20以上の新規ブルワリーが誕生。醸造所数は約500、銘柄数は600を超えると見られる。一時は量販店の大規模店がオープンするたびに、棚は国産のクラフトビールで埋まったが、「何十種類と並べても、その半分はおいしくない」(関係者)ことも多い。さらにビールには、賞味期限の問題もある。今後は品ぞろえの見直しが進み、ブランドは淘汰されていくのではないか。これでは20年前の地ビールブームと同じである。

一方で、「今回は飲む人のレベルも上がっているので、20年前よりはいい状況だ」と見る向きもある。せっかく根付いた「ビールの多様なスタイル提案」という文化を一過性のもので終わらせるのはもったいない。飲み手の信頼と支持を得るためには、本当においしいビールを継続的に提案し、ブランドの持つ歴史や魅力を訴求し続ける必要がある。

クラフトビールブームに加え、料飲店不況が続く中、古くから展開する海外ブランドビールは一時、その立ち位置が微妙になったが、確実に数を伸ばしているブランドも少なくない。