〈「黒ラベル」缶、2年連続2ケタ増へ、新ジャンルは環境変化対応に反省点〉

――1~9月期を振り返っていかがですか。

当社の実績は、累計で総市場を若干上回る約2%減だ。これだけみれば厳しいが、今年、当社は“ビール復活宣言"のもと、「黒ラベル」と「ヱビス」を中心に取り組んできた。ビールは102.3%と、実際に成果を出すことができた。一方で、発泡酒と新ジャンルは当初の計画通りいっていないのは反省点だ。6月の公正取引基準による店頭売価の上昇や、8月の天候不順の影響もあり、最盛期で数字を落としてしまったが、環境が悪いときに、メーカーとして変化に対応した打ち手を打てたかというと、そこは反省材料だ。何か新しい価値提案ができれば、また違った展開になったかもしれない。しかし、先に述べたとおり黒ラベルをはじめとしたビール類は好調であり、弊社の方針に沿って結果を出せている。これは来年以降にもつながる成果だ。

――ビール類の市場環境をどうみますか。

RTD を中心とした他酒類への流出、飲酒人口の減少で苦戦していたところに、6月の公正取引基準の影響もありその流れが加速した。RTDへの流出に、買い控えや最盛期の天候不順が重なった形だ。

いつまでこの影響が残るか、10月以降を注視している。メーカーとしては価格に左右されない魅力的な商品を、販促含めて新しい提案を行い、需要喚起していかなければならない。

――ブランドごとに。まず「黒ラベル」は。

今年40周年だ。春先にはサッポロ生ビール黒ラベル発売40周年記念「40種から選べるビヤグラスプレゼント」キャンペーンを行い、また今年も「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」を発売した。

秋は10月に数量限定で「サッポロ生ビール黒ラベル〈黒〉」を発売し、味の評価もよく、単体でも計画どおりだ。相乗効果で活性化につながっている。これは昨年夏に、「黒ラベル〈黒〉が当たる!」キャンペーンを実施し、本商品の350ml 缶12本セットを5万名にプレゼントしたものが大変に好評を博したので、数量限定発売を決めた。

黒ラベルは1~9月で102.7%、缶は113.8%だ。缶は昨年2ケタ増であり、2年連続の2ケタ増を達成したい。店頭のカバー率が上がり、お客様に手にとっていただく機会が増え、そして何より、「おいしい」と言っていただけていることが好調の要因だ。

次に、2010年より続けているテレビCM「大人エレベーター」シリーズが、若年層を中心に浸透していることも寄与している。

3つめに、数年前から取り組んでいる業務用と家庭用のブリッジを太くする取り組みが大きい。料飲店で黒ラベルの★のマークを印刷した専用ジョッキの積極展開や、最高の品質の黒ラベルをご提供いただくための「パーフェクト黒ラベル」活動を行っている。最初の1杯がおいしければ2杯目につながる。飲用品質を上げることは非常に大切だ。また、東京と大阪では夏に「THE PERFECT BEER GARDEN」を実施しており、これらがブランド認知に奏功している。業務用でおいしいと感じて頂いて、それが家庭用にもつながっている。

エリアで言えば、特に伸び率が高いのが西日本だ。350ml 缶だけだった売場で500ml 缶も採用されるなど、カバー率が上がっている。

――「ヱビス」はいかがですか。

ヱビスブランドトータルでは100.2%と総需要、前年ともに上回っている。3月7日発売の「ヱビス 華みやび」が押し上げた。これまで、ある意味で「ビールにこだわりのある方」をターゲットにしてきたが、もっとブランドに拡がりを持たせたいということで「華みやび」を販売した。これまで「ヱビス」が選択肢に入っていなかった方も手に取って頂き、ブランド全体に興味を持って頂ける入口になっている。

――発泡酒・新ジャンルはいかがですか。

「極ZERO」は、昨年9月にリニューアルの反動はあるものの、ロイヤルユーザーに支えられ堅調。しかし、新しい顧客を獲得するためには、新しい価値の提供が必要だと考えている。

「麦とホップ」ブランドは94.1%。「麦とホップ The gold」を1月にリニューアルしたが、大きく立ち上げることができたかというと、そうとは言えず、その後、今ひとつ伸びきらないままになってしまった。すでに認知は頂いているブランドで、ポテンシャルは持っている。今年はエクステンションも各種展開しているので、少しでも上乗せしていきたい。来年は10周年に当たるので、取組みを強化していきたい。

――リターナブル容器のビールの値上げへの対応は。

物流環境・人件費高騰などを鑑みるに、リターナブルのシステムを維持するためには、価格の見直しは必要との認識だ。そういう方向性は検討すべきと考えているが、現時点では白紙だ。

――ビール類以外の総合酒類は。

ワインは1~9月で輸入と国産計で101%。デイリーワインもファイワインも好調だ。RTDは146%と好調。「愛のスコールホワイトサワー」が西日本から火が点いて、9月に全国発売した。「男梅サワー」「キレートレモンサワー」も好調で、オンリーワン商品が着々と育ってきている。相対的に価格の高い商品群だが、価格競争に巻き込まれないで展開ができている。洋酒は110%。ハイボールを提案している「デュワーズ」を中心に好調だ。和酒は104%。甲乙混和の「こくいも」、RTS の「ウメカク」「男梅の酒」などが中心ブランドとなる。総じて、ビール事業以外の酒類事業は前年を超えている。

――ラストスパートに向けて。

ビール復権宣言にもとづくビール強化、これは第4四半期もぶれずにやっていく。特に黒ラベルは、缶製品の2年連続2ケタ増を必ずやりとげたい。

〈酒類飲料日報2017年11月1日付より〉

 

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