〈体験型の「石蔵ミュージアム」をオープン〉
収穫時に芋の表面に付着した土をきれいに洗い落とし、芋の皮をむき、ヘタや傷んだ箇所を取り除いた「磨き芋」で仕込むことにこだわることで有名な白金酒造(鹿児島県姶良市)。同社は2年ほど前から、営業社員が1つの商品の中身やラベル、販売数量まで全てに責任を持った形で商品開発を実施。一升瓶3,000本が即完売となったヒット商品も生まれている。今年10月には、感じて、学べて、体験できる体験型の「石蔵ミュージアム」をオープンした。全責任を持って建築から手掛け、支配人も務める川田庸平代表取締役専務に話を聞いた。
川田庸平代表取締役専務

川田庸平代表取締役専務

上期(4~9月)の販売実績は、プラスの月もあったが、マイナスで折り返した。10月は新商品の効果もあり、前年を超えた。鹿児島県の出荷量が増えており、「これまでは小売や卸に任せた営業スタイルだったが、営業が現場に行くようになった。飲食店回りは5年目になり、ようやく市内のメニューにも入るようになった」と手応えを語る。

白麹仕込みの「白金乃露」と、黒麹仕込みの「白金乃露黒」が50%の構成比を占める同社の主力商品だ。前者は家庭用が中心で地元比率が高く、後者は業務用が多い。NB商品で第3の柱づくりに取り組んでおり、商品開発では、各営業社員が中身から外見まで1人で決定しているという。

「皆で考えることも大事だが、何本売るかまで1人が全て決めることで責任感も出る。ラベルデザインでも責任転嫁はできなくなるが、売れればそれに対してボーナスを出す。そうなると営業もお互いが切磋琢磨する」と説明する。こういった商品開発は2年ほど前からスタートし、昨年は2アイテム、今年は3アイテムを発売した。尖がった商品が多いと強調するが、中でも米編に3つの芋を連ねたアテ字で「いったいさん」と読む商品はヒットした。

米麹と掛け芋の比率は通常1対5だが、同商品は1対3にしている。「米が焼酎の旨みやコクの決め手になる。いい米を使った米麹を使っていることを強調するには、単純に芋を減らせばいいのではと考えた」と商品特徴を語る。昨年は一升瓶で3,000本が即完売。今年も同数量が即完売となった。小瓶は出さず、製造量も増やさないという。「会長や社長の提案を営業がはねる。そこまで責任を持たせる」と述べる。

1人が全責任を持つ商品開発で第3の柱づくりに取り組む―白金酒造

米編に3つの芋で「いったいさん」

〈どこを見られても恥じない造りをしている〉
川田専務は、「原料はどこにも負けない」と強調する。同社は、原料のさつま芋を仕入れるにあたり、契約仲買はいるが契約農家はいない。

1人が全責任を持つ商品開発で第3の柱づくりに取り組む―白金酒造

「契約農家にするとロットで仕入れることになるが、いい芋の中に悪い芋が混ざっていることもある。生産者を全部回る余裕はない。品質保持のため、仲買に中間手数料を払ってでもいい芋だけを使う」と理由について語る。

いい芋を仕入れるのはもちろん、皮をむいて、硬くて苦いヘタも必ずカットするという。「芋全体の5%は損するが、おいしい部分だけを使っている」と強調。こういった処置は手作業でなければ不可能だ。同社では最盛期には22トンの芋を仕入れる。パート社員1人で処理できるのは1トンのため、20人以上を雇う必要があり、「当社の規模くらいまでが限界」と語る。

また、「米の旨みがコクに繋がってくるので、いい米を使っている。食用米に負けないレベルの品質の鹿児島県産の加工用米ですべての麹を造っている。焼酎は鹿児島の文化なので、どこを見られても恥じない造りをしている」と胸を張る。

1人が全責任を持つ商品開発で第3の柱づくりに取り組む―白金酒造

〈地元の人が気軽に来ることができる設備〉
今年10月に、登録有形文化財に指定されている「石蔵」の2階をリフォームし、「石蔵ミュージアム」をオープンした。「飲食店のお客に蔵の見学を勧めても敷居が高いと言われる。県外からの見学者が多いが、地元の人が気軽に来ることができる設備をつくろうと思ったのがきっかけ」と設立の理由を語る。

ミュージアムでは、蒸留機のミニチュアで蒸留の仕組みを見える化し、焼酎の瓶の欠片を用いたステンドグラスの製作や、塗り絵も楽しめるようになっている。塗り絵は父の日などにオリジナルラベルにすることも検討。また、VR メガネで実際の焼酎造りの様子も見ることができる。

1人が全責任を持つ商品開発で第3の柱づくりに取り組む―白金酒造

併設する売店は新設した。350アイテムのうち、焼酎は100アイテムで、自社商品以外に他社の焼酎も並べている。残りの250アイテムは食品と、工芸品や焼き物などの雑貨を揃える。食品は、缶詰をはじめとしたおつまみや、親子で楽しめる駄菓子を販売する。

1人が全責任を持つ商品開発で第3の柱づくりに取り組む―白金酒造

また、炭火で温めた黒茶家(くろぢょか)で燗付けした焼酎の試飲も可能だ。燗付けは炭火で40~45度をキープする必要があり、技術が必要なため社長しかできないという。そのため、普段は社長が座って対応している。「石蔵」と「石蔵1869」が提供されている。

1人が全責任を持つ商品開発で第3の柱づくりに取り組む―白金酒造

 

〈酒類飲料日報2017年11月27日付より〉