「東北魂ビールプロジェクト」に参画、合同ブランドも発売―スプリングバレーブルワリー

スプリングバレーブルワリー(SVB)は東北のクラフトビール勉強会である「東北魂ビールプロジェクト」に参画し、活動を本格化している。ブルワリー8社が同じレシピで同じビールを醸造して、7日から、SVB東京をはじめとした全国100カ所以上の飲食店で販売を開始した。商品名は「東北魂的IPA」。麦芽・ホップの原材料、また製法は全く同じものを採用した。7日にはSVB東京で、メディアを集めて試飲会を開催し、8社の製品の違いをテイスティングした。プロジェクトを代表して創設メンバーである佐藤航氏(いわて蔵ビール=岩手県)がこれまでの軌跡を紹介した。

クラフトビールの研究会で、東日本大震災がスタートとなった。いわて蔵ビールも直接被害で休業を余儀なくされたが、全国の多くの方から義援金や励ましの寄せ書きなどが贈られた。「最良の恩返しは“よりおいしいビールをつくること”と考え、お互いのノウハウを出し合い、お互いに高め合って品質を向上すること」(同)と考え、2013年8月に声を掛けて、あくらビール(秋田県)、福島路ビール(福島県)を入れた3社でスタートした。年に数回、メンバーのブルワリーに集まり、勉強会と仕込み実習を行う。プロジェクトの結果として、数本の仕込みを行う。

15年、16年と年数を重ねるうちに参加ブルワリーも増えていった。そして、17年に入って、スプリングバレーブルワリーが初参加する。SVB田山智広氏、キリンビール谷川満氏が、いわて蔵ビールを訪問し「何か一緒に出来ませんか?」と伝えたところ、大歓迎。その後、仙台工場でIBUKIBrewer’s meeting に参加したり、ホップペレット工場見学、仙台工場で基礎勉強会などを積み重ねた。17年11 月には第8回プロジェクトを実施し、8社が参加した。「この会から、これまでの官能評価からキリンビールに分析いただくことで、ビールの数値分析ができるようになった」(同)。それまでは、独自に勉強し、技術を学んではいるものの、体系的ではなく、感性と感覚で醸造している部分も多かったという。

参加者らは基礎勉強会などを積み重ねた

プロジェクト参加8社がそれぞれ製造した「東北魂的IPA」はアルコール5.5%、ホップはシトラ・モザイク・東北産IBUKI を採用。柑橘のような華やかな香りと、シャープな苦味が特徴。各社の得意先料飲店など100 カ所で発売する。

8社は、▽いわて蔵ビール▽あくらビール▽福島路ビール▽仙南シンケンファクトリー(宮城県)▽遠野ズモナビール(岩手県)▽やくらいビール(宮城県)▽田沢湖ビール(秋田県)▽スプリングバレーブルワリー(東京都)。

なお、同日、19時から一般消費者100名以上を集めて試飲会やブリュワートークを行った。「東北魂的IPA」を注文すると1杯10円を東北の震災復興支援の一環として活用してもらう。

〈酒類飲料日報 2018年3月9日付より〉

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