今年は「ビール多様化元年」、クラフト構成比「5%到達も近い」―スプリングバレーブルワリー

スプリングバレーブルワリー和田徹社長(左)、キリンホールディングス磯崎功典社長(右)
スプリングバレーブルワリー(SVB)は1日、2018年活動計画および新商品発表会を東京・代官山の同店で開催。同日より同店で提供を開始したフルーツエールタイプの新商品「磯崎さんちの小田原みかん」( 販売価格930円/360ml)と4月より発売になるフルーツビール「サワーシトラス」(同880円など、詳細別稿)をお披露目した。

冒頭、「磯崎さんちの小田原みかん」のために今年もみかんを無償で提供した「農家」として、キリンホールディングス代表取締役社長兼キリン代表取締役社長磯崎功典氏が登場。概略、以下のようにあいさつした。

磯崎氏=酒税法が改正される今年は、ビール業界変化の年。定義変更で大幅に副材料も拡大し、「ビール多様化元年」となるだろう。クラフトブランドの先陣を切るSVBをはじめ、時代の流れを敏感に読み取り、喜ばれる商品をスピーディに提案することを約束する。

我々がクラフトビールへの本格的な取り組みを開始した3年前、(狭義の)ビールカテゴリーにおけるクラフトビールの構成比は1%に満たなかった。昨年は1.5%にまで上がり、今年は2%まで行くと思う。海外のように10%まで広げるのはまだ難しいかもしれないが、基盤ができれば一気に加速するはず。構成比5%の到達はそれほど難しいことではない。

ビールサーバー「タップ・マルシェ」も昨年の関東限定1000店から、今年は全国6000店にまで広げる。料飲店に4種類のビールがあると、2杯目にはきっと別のビールが飲みたくなる。クラフトビールの消費量も確実に増えるだろう。

〈SVB東京をこの秋大幅刷新、都心に異業種とコラボの体験・情報発信拠点〉
クラフトビールの認知度は2015~2017年の3年間に18%増の81%にまで拡大。ブルワリー数も全国45都道府県に278を数える。同社の推計によると、クラフトビールの市場規模は昨年40,000Kl。今年は47,000KLまで伸長する見込みだ。酒税法改正に伴い、ビール定義が拡大することも追い風となる。「フルーツビールをはじめ、いろいろな味にトライするきっかけとなり、ビール市場の活性化と拡大に期待する。SVB が先頭を切って新しいビールを開発していく」(同社代表取締役社長和田徹氏)。

和田氏は、2018年の主な取り組みとして、以下3点を挙げた。〈1〉新・SVB 東京=今秋、「ビア・サプライズの進化」をテーマに、新たなビール体験とビアカルチャー共創の総本山として、コンテンツやサービスのスタイルを大幅に刷新。〈2〉京都での産学連携を通じた地域の盛り上げ=京都産原料100%のビール造りを起点に、新たな地域コミュニティを創造するプロジェクトを産学官農と連携し始動。〈3〉異業種コラボにより新・体感拠点の立ち上げ=2020年のオリンピックを前に異業種とコラボレーションし、革新的な新ビール体験&情報発信拠点を今夏、都心にオープンし、次世代および世界への発信を強化する。

SVB 東京・横浜・京都トータルの累計来店者数は昨年68万人を突破した。今年も革新的なビールの開発・提案を行うとともに、クラフトビールの聖地ポートランドなど海外ブルワリーとのコラボも拡大。国産ホップや参加型ファンコミュニティ「CLUB SVB」との共創を通して、年内100万人突破を目指す。なお、SVB 東京は3日から3月4日まで、京都市主催の「京まなび2018」とコラボし、SVB京都限定ビールや京都3ブルワリーのビールと京都の素材を使った限定メニューを提供するほか、写真展や和楽器ライブなども実施する予定。

〈酒類飲料日報 2018年2月5日付より〉

スプリングバレーブルワリー 発表会

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