「にいがた酒の陣」開催、過去最高の14万人超来場―新潟県酒造組合

新潟県酒造組合 大平俊治会長
新潟県酒造組合が主催するイベント「にいがた酒の陣」が10日と11日の2日間、新潟市の朱鷺メッセで開催された。同イベントは新潟県内の85蔵の蔵が出展し、約500種類の日本酒が試飲できるイベント。今年は過去最高の来場者数となる14万1,523人が来場。昨年比で8.8%増えている。また、9日に行われた「新潟清酒試飲商談会2018」にも業界関係者が多数来場し活況を呈した。

開会式で登壇した同組合の大平俊治会長は来場者に向かって「飲んでますか!」と元気にあいさつ。「昨日は新潟大学の日本酒学センター開設の記者会見を開くことができた。みなさまの応援のおかげで世界初の取組が新潟大学で始まる。新潟が日本酒のメッカになることを期待している。今日来られている皆様におかれては、存分に新潟のお酒を楽しんで頂き、その味わいや楽しさを内外にアピールしてほしい」と来場者に語った。

朝日酒造は5月発売の「朝日山 純米大吟醸 越淡麗」を提案

朝日酒造は5月発売の「朝日山 純米大吟醸 越淡麗」を提案

「朝日山」「久保田」などを製造する長岡市の朝日酒造は9日の試飲商談会では5月に発売する「朝日山 純米大吟醸 越淡麗」を提案し、10、11日の「酒の陣」では「久保田 純米大吟醸」を中心に試飲を行っていた。両商品は精米歩合が50%の純米大吟醸で、若年層に飲んでほしいという想いから開発された商品。営業担当者は「コンセプトは同じだが、“久保田”は五百万石、“朝日山”は越淡麗となっており、味わいはやはり異なる。しかしながらどちらも華やかな香りがあり、飲みやすい設計で価格もリーズナブルな商品。ぜひ手に取って試してもらいたい」と話す。

同じく長岡市の吉乃川はボトル缶入りスパークリング清酒「吉乃川 酒蔵の淡雪」を提案。成熟した果実を思わせる濃厚な香りと、麹本来のやわらかな甘みが特徴の商品。「特に女性から好評。ボトル缶でリキャップ出来るということや風味、アルコール分が7%で低めというところも評価されているポイント」と営業担当者。

菊水酒造はリニューアルした「無冠帝」を提案

菊水酒造はリニューアルした「無冠帝」を提案

新発田市の菊水酒造は、試飲商談会ではリニューアルを行った「無冠帝」を提案し、酒の陣では毎年恒例となる樽酒を中心に試飲の提供を行った。また、先日日本雑穀協会が主催する「日本雑穀アワード2018」において金賞を受賞した「十六穀でつくった麹あま酒」を両イベントで展開。「“無冠帝”はこれまで生酒として発売していたが、リニューアル後は生詰めへと変更。“味吟醸”を意識した商品となっており香りは穏やかになった一方、今まで以上にキレが良いスカッとした味わいになり、より食事に合わせやすい日本酒となった。夏にはロックなどでも楽しめると思う」と話し、甘酒については「新工場が昨年10月から稼働し、お客様のニーズにもしっかりと応えられる体制を整えた。味わいとしてはさらっとした口当たりではあるが、差別化のポイントとしてはやはり十六穀を用いていること。麹甘酒において十六穀を使用している商品は当商品以外ほとんど見かけられない。女性ユーザーを中心にリピーターも増えてきている」と人気ぶりを説明した。

尾畑酒造は佐渡のテロワールを存分に生かした純米大吟醸酒をアピール

尾畑酒造は佐渡のテロワールを存分に生かした純米大吟醸酒をアピール

「真野鶴」を醸す尾畑酒造は、同社が所在する佐渡のテロワールを存分に生かした純米大吟醸酒をアピール。同社の尾畑留美子専務取締役は「佐渡島産越淡麗を35%まで磨いた“実来(みく)”や、その“姉妹酒”である山田錦を35%まで磨いた“万穂(まほ)”などは国内外の日本酒コンテスト(Kura Master、IWC SAKE部門など)でも金賞を頂けるクオリティの商品」と品質の高さをアピール。

「越路乃紅梅」などを製造する頸城酒造も地元にこだわった特徴ある酒米を使用。試飲商談会で提案を行っていた「純米吟醸 越路乃紅梅」は大半が広島県で栽培される八反錦を使用したもので、同社営業担当者は「当社が使用している八反錦は地元の上越市柿崎地区産のもの。八反錦らしい上品な甘みと旨味が特長で、派手すぎない香りの為食中酒として飲んで頂ければ」と同商品を説明。

新潟市中心部にほど近い場所に位置する今代司酒造は「牡蠣」とのマリアージュを突き詰めた商品「IMA」を強くアピール「同商品は当社の世界戦略酒として発売している商品。世界中どこでも牡蠣は食べられており、特徴としてはアミノ酸由来の旨みと、リンゴ酸由来の酸味が強く生牡蠣には最高の相性」と同社の佐藤嘉久営業部長。

塩川酒造は海外での食事とのマリアージュに焦点を当てた「COWBOY」や「FISHERMAN」をアピール

塩川酒造は海外での食事とのマリアージュに焦点を当てた「COWBOY」や「FISHERMAN」をアピール

同じく新潟市の塩川酒造も海外での食事とのマリアージュに焦点を当てた「COWBOY」シリーズや「FISHERMAN」シリーズをアピール。「“COWBOY”は肉料理、特にステーキとの相性を考えた商品で、アメリカのステーキハウスなどを中心に需要が広がっている。赤いボトルとカニの絵柄が目を引く“FISHERMAN”は魚介類のなかでも、特に旨味成分がエビやカニといった甲殻類にマッチする商品となっている」と商品の特長を説明。

大規模火災で蔵が全焼した加賀の井酒造は、3月からの醸造再開をアピール

大規模火災で蔵が全焼した加賀の井酒造は、3月からの醸造再開をアピール

2016年12月に発生した大規模火災で蔵が全焼した加賀の井酒造は、3月からの醸造再開を来場者にアピール。

「まだまだ蔵が再建したばかりで、細かい使い勝手はわからない。今期の造りについても、来季しっかりと良いものを作るための準備期間の様な位置づけ。かといって手を抜くわけではなく、3月からは地元の方が愛飲していたような日本酒を造り、復興の一助としていきたい」と同社の小林大祐取締役。

フードブースには国分グループ本社が初出店、「ほぐす茶漬け」など提供

フードブースには国分グループ本社が初出店、「ほぐす茶漬け」など提供

会場を囲むように設置されたフードブースには大手食品卸の国分グループ本社が初めて出店。「桐印日本橋ほぐす茶漬け」シリーズをアレンジした「新潟県産紅ズワイガニのせ 鯛のほぐす茶漬け ゆず香る白ごま仕立て」などを提供。同社の担当者は「米にもこだわりを持ち、十日町産のブランド米“米屋五郎兵衛”を使用。普段ではありえない価格設定で提供させてもらう。お酒を楽しんだ後に、少し贅沢な“締め”として食べてもらいたい」とコメント。

〈酒類飲料日報 2018年3月14日付より〉

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