モトックスは6日、南アフリカで初のマスター・オブ・ワインとなったリチャード・カーショウ氏を迎えたマスタークラスをTKPガーデンシティ品川で開催。カーショウ氏は南アフリカワインの概況やトレンドを説明した後、同氏が2012年に設立したブティックワイナリー「リチャード・カーショウ」から未輸入品も含む8本を紹介した。

カーショウ氏はイギリス出身で1999年、南アフリカに移住。冷涼なワイン産地として注目を集めるエルギンの地で、地質やクローンにフォーカスしたワイン造りを実践している。

〈南アフリカワインについて〉
ワインは南アフリカの主要な輸出産品であり、生産量の約半数が輸出されているが、うち約6割がバルクでの輸出。国内のワイン消費は、人口の10%程度を占める白人が中心だったが、2000年生まれのミレニアム世代が飲酒人口に加わり、黒人向け市場が急速に成長している。以前は甘口の赤ワインや白ワインが中心だったが、嗜好も辛口に移行。最近は小規模で若い生産者が増え、生産地のテロワールにあった自由で個性あふれるワイン造りを実践し、ナチュラルワインや、人的介入の少ない「ハンズオフ」ワインが注目されている。

この3年ほどは干ばつが続き、ワインの生産量は減少。水不足や気候変動によりワインの価格は上昇しているが、量から質への転換が進み、ワイン事業への投資も増えている。また、新しい生産者を中心とした生産地・生産者団体が続々と創設され、世界に南アフリカワインの魅力を発信するようになった。

〈冷涼な気候が生むエレガンス、土壌違い・クローン違いの比較も〉
エルギン地区は標高が高く、海に隣接していることから、冷たい霧の影響を受けるため冷涼で昼夜の寒暖差も大きい。雲も多いので、強烈な日差しからも守られる。この地の気候に最も合うシャルドネから栽培を始め、その後シラー、ピノ・ノワールも開始した。地質別に細かく畑をブロック分けし、別々に醸造。さらにクローンごとにも造り分けを行う。

クローンは、ディジョン・クローン76、95、96を中心に使用。収穫は手摘みで、小さなかごを使用。搾汁は1トンあたり600Lと贅沢な造り。ワイナリーではグラヴィティシステムを採用し、ポンプは一切使用しない。果汁はすぐ木樽に移し、発酵させるが、酵素や酵母は使わず、補酸もしない。酸化防止剤SO2の添加もぎりぎりまで待つ。樽は、フランス産のオーク材のみを使用する。

試飲ではまず、「エルギン シャルドネ クローナル・セレクション」と南アでは珍しい石灰岩土壌を見つけたことから造った「GPS ( GrapePositioning System)シリーズ」の「ファルマークリクカイ シャルドネ」(5,950円)を比較した。
「エルギン シャルドネ クローナル・セレクション」等の試飲を実施

ファルマークリクカイにはまだ一軒しか農家がないが、最近になってLowerDuivenhoks River(ロウワーディヴンホックス リヴァー)の小地区に指定された新しい産地だ。続けて、日本未輸入のクローン別シリーズ「デコンストラクテッド」から、CY95、CY96、CY548と、3つのクローンを比べた。CY 96は白桃のようにデリケートでエレガントなフレーバー。CY95は逆に、黄桃系の豊かなボディーが印象的。CY76はミネラリティ豊かでタイト。赤ワインは、「クローナル・セレクション」から新たにシリーズに加わったピノ・ノワールに続き、シラーで「クローナル・セレクション」と「デコンストラクテッド」の「グルーンランド ボッケヴェルド シェールSH9 c」を比較した。

〈酒類飲料日報 2018年8月8日付より〉