ニッカウヰスキー「宮城峡蒸留所」50周年で限定商品「シングルモルト宮城峡リミテッドエディション2019」など展開

「シングルモルト余市リミテッドエディション2019」「シングルモルト宮城峡リミテッドエディション2019」
アサヒビールは2月27日、ニッカウイスキー宮城峡蒸溜所設立50周年施策発表会を同蒸留所で開催。同社洋酒・焼酎マーケティング部長奥田大作氏と、ニッカウイスキー取締役ブレンダー室長チーフブレンダー佐久間正氏が説明した。

奥田氏は、「宮城峡はニッカにとって運命の土地だ。1969年5月10日に竣工したが、その歩みはまさに挑戦の歴史だった。世界で初めてコンピューター制御による製造工程を導入したほか、当時スコットランドで始まったばかりのガスによる蒸気間接蒸留も取り入れ、1999年には西宮工場からカフェ式連続式蒸留器を移設した。先進の技術を取り入れ、独創的な原酒作りに50年歩み続けてきた挑戦の歴史を考えると、宮城峡は竹鶴政孝の夢を実現するために挑戦し続けてきた“基地”である。そこで、今回は50周年のテーマを“ウイスキー未来基地。”と名付けた。引き続き挑戦を続けていきたい」と語った。

左=奥田大作氏、右=佐久間正氏

左=奥田大作氏、右=佐久間正氏

50周年の取り組みとして、3月12日には、宮城峡蒸留所設立50周年記念「シングルモルト宮城峡リミテッドエディション2019」「シングルモルト余市リミテッドエディション2019」(各税別30万円)をそれぞれ700本限定で業務用を中心に発売する(海外市場にも各300本程度輸出予定)。「接点を大きくするために、バーやホテルなどの業務用を中心に展開したい」(同社)。
 
宮城峡蒸留所のファーストドロップを含め、1960年代から2000年代まで、50年分の歴史を閉じ込めたモルト原酒を使用した、まさに50周年を記念する一本だ。
 
〈限定商品「リミテッドエディション」には1960~2000年代の原酒を使用〉
宮城峡蒸留所50周年の販促では、「ブラックニッカ」「スーパーニッカ」「カフェジン」「カフェウォッカ」をメインブランドとし、ネックリンガーや50周年のポスターで大々的に展開。特設サイトも開設する。さらに、フォロワー47万人を超える公式ツイッターからの発信も強化。宮城峡蒸留所ビジターセンターでは、「原点を振り返るとともに、複数の蒸留所を有するようになった先進的な取り組み、果たした意義、重要性を訴求する企画展」として、特別展「A Traveller of Whisky」を開催。「これまで以上に宮城峡を好きになってもらえるような取り組みを通し、年間来場者23万人を目指す」。
 
なお、ブラックニッカの2018年実績は、前年比3%増の372万ケースで、6年連続の伸長。樽詰めハイボールは24%の大幅増となった。「今年は、原酒も限られており、国産ウイスキーでは1%増が目標。ジャパニーズウイスキーの未来に向けて、原酒増産に取り組む」(奥田氏)。
 
同社では2016年より増産体制に入り、ニッカ全体では、モルト・グレーンともに2015年比で80%増の増産体制を継続。また、2021年までに貯蔵庫を新設し、貯蔵能力は4割増となる見込み。
 
新商品「リミテッドエディション」は同社初のブラックボトル。佐久間氏は、「平均年数は30年。2000年代の原酒も使うことで、歴史だけでなく、若さも調和させたブレンドだ」と紹介。「宮城峡には、蒸留所竣工前の3月に造られたファーストドロップも使用。最初竹鶴氏が“違うな”とつぶやき周りは慌てたが、“余市とは違う”の意味だった」と話す。「宮城峡はフルーティで華やか、シェリー樽の特徴がキー。パウンドケーキのように甘い香りや、ラベンダー蜂蜜のようなフラワリーなハーブ。味わいにはこくのある甘さ。一方、余市はバニラのような甘い香り、ビスケットのような香ばしさに加え、ピートが鼻の上に抜ける。余韻もピートで、奥に麦の香ばしさと新樽由来の華やかなオレンジピール」と説明。
 
〈酒類飲料日報 2019年3月1日付〉