大阪国税局は9月5日、8月17日に地理的表示(GI)灘五郷に新たに「ひやおろし」の定義が追加され、9月1日に発売解禁となったことを受けて、灘五郷酒造組合の協力のもと、神戸市中央区の神戸みなと温泉蓮で、「GI 灘五郷 ひやおろし 記念発表会」を開催した。

会場には、「菊正宗 超特撰生酛大吟醸 ひやおろし」など6社7銘柄の認定酒が勢ぞろいした。同発表会には、大阪国税局の三村菊博酒類監理官、灘五郷酒造組合の嘉納健二理事長、スポーツタレントの稲村亜美さん、2020MissSAKE兵庫大会グランプリの高山郁美さんが登壇し、鏡開きを行った。その後行われた認定酒の利き酒、利き酒ミニ講座、ペアリングフードの提供、トークセッションなどのもようは、後日一般向けにYouTubeで配信される。
大阪国税局・三村菊博酒類監理官

大阪国税局・三村菊博酒類監理官

三村監理官はあいさつで、国税局が酒類の需要振興に取り組む目的について、「酒類業の健全な発達」を挙げ、酒類業が歴史的・文化的に重要な地場産業を形成してきたこと、地方創生やクールジャパンとして新たな価値を創出していること、その発展は地域経済・日本経済に寄与していることを指摘した。その上で、「酒類全品目の課税移出数量は1999年をピークに減少を続けている。清酒に限ると1973年をピークに、2018年には当時の3割まで低下している」と、現状に懸念を示した。
 
一方で、海外では、国際的なコンクールで受賞するなど評価が高まっていること、和食の市場も拡大が見込まれること、輸出金額は2019年には約661億円となり8年連続で過去最高、清酒に限ると10年連続で過去最高を記録していることなど、輸出の可能性に言及。
 
「世界的には108兆円のアルコール市場があるが、清酒は4,000億円規模にとどまり、しかもほとんどが国内で消費されている。世界市場にはまだ伸びしろがある」と語った。もっとも、「今年は1~5月の輸出金額は全品目で約15%減少、清酒だけで見ると、約25%も減少した。国内出荷にも影響は大きく、料飲店の営業自粛やステイホーム、インバウンドの激減から、国内出荷数量は前年の1~5月に比べて酒類全体で4%、清酒では約18%も減少した」と、世界規模での新型コロナウイルス感染拡大の影響に言及した。
 
こうした状況下でのイベント開催については、「国内外における日本産酒類のブランド価値向上のため、GIの普及拡大に取り組んでいる。このほどひやおろしが追加指定され、9月1日に発売が解禁された。インスタグラムを媒体として、抽選で『GI灘五郷ひやおろし』や『GI灘五郷の枡』が当たるハッシュタグキャンペーンを展開するほか、YouTubeでの動画配信も活用してPRしていく。普及拡大・定着するよう取り組む」と強調した。

灘五郷酒造組合・嘉納健二理事長(白鶴酒造社長)

灘五郷酒造組合・嘉納健二理事長(白鶴酒造社長)

嘉納理事長は、「GI灘五郷は、2018年6月に指定を受けた。これにより、灘の地で生産者たちが数百年来の歴史を刻んできた文化を、地理的表示として認めてもらえた。中でも、『秋に美味しくなる』と言われている灘の酒の『ひやおろし』が、8月17日に追加指定された。(コロナ禍の状況下で)自粛要請、緊急事態宣言が出され、今は緩和できるか模索している時期にあたるが、どんな時でも、食への欲求、酒をたのしみたい、人とつながりたい欲求は止むことはない。不自由はあるが、これを機に、我々も品質と価値の高いものを提供することで、食文化や日常を楽しみたいという気持ちを満たしていきたい。世界の交流が困難な時期ではあるが、灘の地元らしい酒をつくることで、世界にもPRしていきたい」と、意気込みを語った。
 
〈酒類飲料日報2020年9月8日付〉