3度目の緊急事態宣言に伴う飲食店への酒類提供禁止要請を受け、ノンアルコール商材の需要が急増している。ノンアルコールビールは既に国産・輸入ともに商材も豊富で、量販・料飲共に一定の市場を築いたが、ノンアルコールワインとなるとまだ商材のラインアップが限られる。

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国産ではメルシャン、アルプス、シャトー勝沼などがノンアルコールワインを生産。メルシャンの「スパークリング・アルコールゼロ」は2020年、前年比35%増の1万2,000ケース(9L換算、以下同)だった。2021年も酒類提供禁止要請を受け、勢いが加速。4月は25%増、5月は2.5倍と大きく拡大した。

輸入では、ベルギー市場No.1シェアを誇るネオブル社とフランス・ラングドックのワイナリー ピエール・シャヴァン社の製品が市場の大半を占めるとみられ、輸入ブランドの市場規模は7万5,000ケースと推定する。なお、コルドンヴェールのイオン扱い「ル プティ シャヴァン」は10月末発売、白鶴「レ・ココット」も11月中旬発売なので、これを年間ベースに換算すると、およそ8.7万ケース規模となる。
輸入ブランド市場規模

輸入ブランド市場規模

 
コロナ禍における健康意識の高まりを受け、ノンアルワインの需要は拡大。緊急事態宣言前の1〜3月から、「前年比200%以上で推移」(都光)という流れはあったが、4月以降は、「爆発的な反響」で「一部定番顧客向けを除き、在庫可能分は完売」(同)。「4月23日からの1カ月で、通常月の約10倍を出荷」(パシフィック洋行)。「前年比4.5倍以上と急拡大。間口も、前年に比べ400件以上増えた」(モトックス)。いずれも「在庫に限りがあるため、既存のお客さまを優先させることになり、需要に応えきれなかった」との思いは共通する。
 
販路も大きく拡大した。なかでも、ワインカテゴリーで特徴的なのが、結婚式場やホテルなどにおける婚礼宴席需要だ。「おめでたい席、コースで供されるフランス料理にスパークリングワインやワインは欠かせない」と、強い引き合いがあった。
 
〈新たな需要喚起と味わいへの高評価で、ノンアルワイン市場拡大は確実〉
6月にはメルシャンが、ノンアルコールサングリア「MOCK Bar(モクバル)」を投入。また、エノテカも7月には、ピエール・シャヴァン社と共同開発したオーガニック・ノンアルコールワイン「ジョエア」の発売を予定する。
 
酒類提供禁止要請から始まったノンアルコール特需だが、「これをきっかけにノンアルコール商材の存在、価値、おいしさなどに気づいていただけた方も多いのではないか」と考えるインポーターも多い。
 
確かに、ノンアルコールビールは、飲めないときの代替品としてだけでなく、味わいの進化や飲用シーンの広がりと共に定着した。
 
ノンアルコールワインも、「味がおいしいとのフィードバックをよく聞く」「SNSでの投稿も増えた」ことから、「興味はあるがおいしくなさそうとのイメージを払拭し、これまで飲んでいなかった層への需要は喚起できた」。
 
さらに、「消費者からの引き合いも、年々強くなっている」「近頃は、“どんな時でもお酒を飲まない”に加え、お酒は好きだけど“今日は飲まない”人も増えている」との声もある。
 
今後もノンアルコールワインは、「より日常的な飲料となる」との見込みは強く、「生活に寄り添うノンアルコールの提案やプロモーションを加速させたい」「新たにプレミアムなノンアルコールワインを開発して投入したい」と、市場のさらなる拡大に意欲的だ。
 
〈酒類飲料日報2021年6月1日付〉