ラトックシステム「もろみ日誌」、特色ある酒造りを未来につなぐための優れたツール

第51回食品産業技術功労賞 資材・機器・システム部門
「もろみ日誌」は、「麹」「酒母」「もろみ」を造る酒造三工程で、品温を自動でモニタリングし、データを蓄積、帳簿の作成までを可能にしたシステムだ。

工事を要せず、比較的低コストでIoT化を実現できる。省人化、酒質向上、技術継承にも資する同システムは、酒造現場の課題を解決し、各地方の特色ある酒造りを未来につなぐための優れたツールだ。

杜氏(とうじ)や蔵人の高齢化と人手不足が全国の酒蔵で慢性的な課題となる中、品温確認と記録の手間を自動化できるメリットは大きい。また、酒税法上課せられている膨大な量の帳票作成は、多くの蔵では手作業で行われているのが現状だが、「もろみ日誌」に蓄積されたデータを利用すれば、簡易迅速に帳票を作成することができる。

事績データはグラフ化され、過去の品温や自動算出されたBMDや原エキスなどの値を比較しながら造りを進めることもできる。クラウド版では冷却水の制御で品温を管理する機器と連携し、更なる省力化も可能だ。

〈食品産業新聞 2021年12月8日付より〉