〈NZが技術提供 1万651頭まで減少した道内の羊、2028年に10万頭まで拡大へ〉
ニュージーランド大使館とアンズコフーズ、ファームエイジ(株)(北海道・当別町)はこのほど、北海道と北海道めん羊協議会と連携し、道内の羊牧場へ技術協力を進める「ニュージーランド北海道羊協力プロジェクト」をスタートさせた。

ニュージーランド(以下、NZ)の技術を生かし、道内の羊産業の課題を解決し、生産性・収益力の向上を図る。めん羊の管理技術の豊富な経験とノウハウを持つアンズコフーズをはじめ、NZからコンサルタントを招へいし、今後、2年間のプロジェクトを通じて、道内の羊産業の現状課題を分析、解決策を講じることで道内羊産業の振興を図る。NZが得意とする放牧のノウハウ、飼養衛生管理、種畜供給体制の確立などに関する技術提供する方針だ。現在、1万651頭(15年)まで大きく減少した道内の飼養頭数を28年には10万頭規模にまで拡大させることで、再び羊産業を創出したい考え。同時に、マーケティング活動を通じて、NZ式放牧で生産した北海道産羊肉のブランドづくりも進めていく。

同プロジェクトは昨年署名された「北海道ニュージーランドパートナーシップ協定」に基づく取組み。NZ式放牧システムの提案普及事業を行うファームエイジ社によると、プロジェクトは、NZ政府、アンズコフーズ、ファームエイジが主体となり、北海道庁と連携しつつ▽道内の3戸の羊牧場(白糠町・茶路めん羊牧場、滝川市・松尾めん羊牧場、恵庭市・えこりん村)を選出し、1年目は課題の抽出など調査分析、2年目で技術的協力▽北海道産羊(グラスフェッド)の圏内およびアジアへ向けたマーケティング▽上記に必要なエキスパート(コンサルタント)をNZから北海道へ派遣――など。

具体的には5月から、アンズコフーズからアグリビジネスマネージャーのアラン・マックダーマット氏と草地農業博士・農業コンサルタントのガビン・シース氏を3農場に派遣する。1年目は調査データを分析して現状の課題を抽出し、各牧場に合った解決策を提示し技術的な協力を行う。2年目も引続き技術協力と調査検証を行い、プロジェクト終了時に最終結果を検証する流れとなっている。課題としては▽種畜供給体制が確立されていない▽飼養衛生管理技術(特に寄生虫対策)▽放牧によるメリッ卜が行かされていない▽北海道産羊、グラスフェッドの付加値価が認知されてない――などの課題があるという。

今回のプロジェクト開始にあたって、アンズコフーズのグレアム・ハリソン会長は「当社は長年にわたり、北海道の羊肉流通業の顧客と強固な関係を築いてきた。このプロジェクトは、両者の関係をさらに発展させ、その実現のためにNZの技術とノウハウを提供することで、拡大を続ける日本の羊肉需要と北海道の新たな機会創出を結び付けるものと考えられ、北海道および日本とNZの両者に有利な協力関係を深めることになる」とコメントしている。

北海道農政部によると、道内の羊の飼養頭数は1956年に過去最多の26万7,820頭を記録、その後、61年の羊毛の輸入自由化、62年の羊・羊肉の輸入自由化などを経て徐々に減少し、近年では91年の1万6,900頭がピークにあったという。その後も緩やかに減少して、15年は1万142頭(193戸)に止まっているという。なお、道内の羊肉生産量は112.9t(09年:枝肉ベース)で全国の79%を占めている。

〈畜産日報 2018年3月26日付より〉

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