〈オーガニック・ミートの市場可能性見出す〉
豪州クイーンズランド州ツウンバのパッカー「アーケディアン オーガニック&ナチュラルミートカンパニー」(アリスター・ファーガソンCEO、以下、アーケディアン)は、豪州最大の有機・自然食肉のサプライヤーとして知られており、とくに欧米においては将来の世界のオーガニック・ビーフ市場のキー・プレーヤーとして世界のマーケット関係者から高い期待が寄せられている。

欧米に比べると日本のオーガニック市場、とりわけ食肉関係はニッチと言わざるを得ないが、ここ数年で国内量販店もオーガニック食品をウリにした専門店の出店や、一般店でも売り場の一角にオーガニック商品を品揃えするケースが多く見受けられるようになった。

こうしたトレンドを受けて、アーケディアンは昨年から日本市場への展開にも力を注いでいる。食の嗜好の多様化、そして2020年東京五輪に向けて消費者の「オーガニック」への意識は徐々に高まっており、アーケディアンでは将来の日本でのオーガニックの可能性を見出し、現在、市場の開拓を図っているところだ。

2005年に設立したアーケディアンは、創業当初は1週間当たりわずか66頭の処理でスタートしたものの、現在はビーフで同9千頭、ラムで同1,500頭規模にまで成長している(と畜はオーキービーフエキスポートに委託)。現在、クイーンズランド州北部を中心に自社農場および契約する有機認定農場(120カ所以上)から家畜を集荷。取り扱う畜牛・羊は、ともに100%自然の牧草(農薬不使用)により完全放牧で育てられており、ホルモン剤や抗生物質、合成化学物質は一切与えられていないのが特長だ。

さらに、豪州の有機認定は畜産農家だけでなく食肉処理業者にも厳格な要件が課されており、それをクリアしたアーケディアンのビーフ・ラム製品は、「オーストラリアン・サーティファイド・オーガニック(ACO)」や、米国農務省(USDA)の認定を取得、それらのロゴの表示により、商品のインテグリティを保証している。

現在、同社のブランドのひとつ「グリーバーズ」は豪州国内の900店舗以上の大手スーパー・独立系小売店で販売され、有機食肉ブランドの代名詞として知られているほか、海外9カ国以上に輸出。とくに10年以上の実績を持つ米国ではホールフーズやコストコなど主要小売店で販売されている。

こうしたなか、アーケディアンは日本にオーガニック・ミートの可能性を見出し、昨年、東京・港区に東京事務所を構え、日本市場での展開を本格始動させた。現在、東京事務所では、日本でのオーガニック食品の輸入・販売経験と、アンチエイジングフードマイスターの資格を持つ阿部聡子氏をカントリーマネージャーに任命、また大手食肉パッカーに在籍し40年もの対日ビーフ・ビジネスの経験を誇るマーク・ベニソン氏がサポート役を担い、日本の大手商社および食肉卸売事業者とタッグを組んで市場開拓を進めている。

阿部マネージャーによると、この半年間で横浜や熊本など都市部の大手ホテルやレストランをはじめ、東京都内の高品質スーパーマーケット「リンコス六本木ヒルズ店」(株式会社マルエツ)でも取扱いが始まり、リンコスでは「オーガニック・ビーフ」として商品パックにはACOロゴマークを付けて品ぞろえされているという。「食品問屋やスーパー、外食事業者のいずれも予想以上の関心の高さが伺えた。また、オーガニック食品に対する消費者の意識も高まっており、反響の高さを感じている」(阿部氏)と、オーガニック・ミートに対する日本市場の確かな手ごたえに顔をほころばせる。

今年はさらなる市場開拓を目指して、オーガニック・ビーフに関しては従来のプライマルカットに加えてリテールパックを発売するほか、動物福祉を重視したフリーレンジ豚肉「ボローテール」など新たな商品群を展開してゆきたい考え。また、4月には有名イタリアン・シェフ奥田政行氏とのコラボ・イベントなどのプロモーション活動も積極的に展開してゆく方針だ。

一方、豪州現地では、世界的なオーガニック・ミートの需要拡大を見据えて、昨年10月に185万エーカーの牧場に約8.5万頭の畜牛を保有する豪州最大の家族経営牧場「ヒューイット・キャトル・オーストラリア」が資本参加した(アーケディアンの15%の株を購入)。今後、短・中期計画として、彼らの保有する牛全体の50%をオーガニック畜牛に変えていく方針を掲げており、日本をはじめ世界的なオーガニック・ビーフの需要に向けてより安定的な供給体制を敷く方向にある。

日本市場での展開について、阿部マネージャーは、「豪州は世界のオーガニック農地の53%を保有する国であり、その土地の大部分が家畜(肉牛)に利用されている。豪州では、一般のスーパーでもオーガニック商品が日常的に並んでいるほか、あるマーケット・リサーチでは今後、世界のオーガニック・ビーフ市場は17年の8,800億ドルから27年には1兆6,600億ドル規模まで発展すると予測しており、そのなかで当社はキー・プレーヤーの一役を担う存在として紹介されている」と指摘する。そのうえで、「当面の課題として、100%グラス・フェッドのため、一般消費者には柔らかく、美味しく食べられるよう、焼き方など調理の工夫を啓もうする必要があるが、日本の消費者にもオーガニック食品に対する意識の高まりを肌で感じている。日本の食のムーブメントは、欧米の数年後に訪れる傾向にあるとみており、今後、必ず日本人の意識はもっと変わってくると信じている。当社の製品は、第三者機関からオーガニックの認証を受けるため、それなりのコストと時間がかかっているため、一般的なコモディティに比べて高値にあるのは否めないが、2020年東京オリ・パラを控え、こうした商品に対する日本の消費者の意識は大きく向上してゆくものと確信している。これからも日本でさらにオーガニック・ミートを広めてゆければ」と期待感を示している。

〈畜産日報 2018年2月13日付より〉

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