〈初年度出荷250頭、赤身肉のおいしさを訴求、首都圏への販売も視野に〉
マルイチ産商は14日から、豪州から輸入した素牛(アンガス種×黒毛和種の交雑種)を地元長野県内で肥育した肉専用種牛を「信州白樺若牛」としてブランド化し、同日から発売を開始した。同社にとっては、「りんご和牛信州牛」「信州米豚」「信州ハーブ鶏」に続く第4の銘柄に位置づける。

「おいしい赤身肉をつくる」をコンセプトに、アンガス種(雌)と黒毛和種(雄)双方の特長を兼ね備え、長野ならではのリンゴ絞りかす発酵の専用飼料に、12~15カ月間の短期肥育で仕上げた。和牛よりもリーズナブルで、最近の健康志向を背景にした赤身肉へのニーズにマッチした商品となっている。同社では県内の小売業をはじめ、首都圏地域への販売を順次開始する方針で、今年度は250頭の出荷を計画している。以前から輸入素牛を国内肥育して販売する取組みは九州など一部地域で行われているが、その名が表すように、同社は「オーストラリア生まれ、信州育ちの肉専用種」という “新たな長野県産牛ブランド"として県内外に広く訴求してゆく方針だ。国内では繁殖農家の戸数減少や肉用子牛価格の高騰など、近年、肉牛生産基盤は厳しい課題に直面しているが、同社の取組みは今後の国内肉牛産業のあり方にも一石を投じるケースともいえる。

14日に長野県長野市のホテル国際21で、マルイチ産商による「信州白樺若牛」の発表会が開かれた。同社の説明によると、肥育素牛は対日向け素牛輸出で高い実績を持ち、ESCAS(豪州生体輸出業者)監査認証を受けたエドワーズ・ライブストック・カンパニー社(QLD州)から、8~10カ月齢を導入する。現地で3週間輸出検疫を経たのち、船積み後3週間をかけて九州・新門司港に運ばれ、動物検疫所で2週間輸入検疫を受け、1日かけて農場へ搬送する。

国内肥育では、「信州牛」と同様の生産スキームを活用する。具体的には、農場はJA佐久浅間グループの(株)グリーンフィールド(長野・佐久市)の長者原農場で12~15カ月間肥育する。飼料は、中野固形粗飼料(株)(長野・中野市)が設計した、りんごジュースの絞りかすや飼料米など地域資源を活用した同ブランド専用の飼料を給餌する。この間の肥育で生体重は導入時の300kg未満から700~800kgに達し、大信畜産工業(株)(長野・中野市)でと畜・カットされ、販売はマルイチ産商が手掛けるという。同社畜産事業部畜産デリカ商品部の小松正寿レッドミートチームリーダーによると、現在、農場では300頭が導入・肥育されているという。生体はアンガス種ならではの肉質の高さやモモ張りの良さ、早熟で肉のキメが細かいといった特長と、柔らかい肉質で豊潤な香り、優れた脂質を持つ黒毛和種の特長をそれぞれ兼ね備えているという。

和牛のような霜降りを追求したものではなく、「おいしい赤身肉をつくる」をコンセプトに生産しているため、販売するうえでの格付けによる評価はしていないが(肉質の検証のため格付けは実施している)、概ねBMS2~4の仕上がりで「四肢が短くて、横幅が広く、確りとしたロース芯と赤身肉が取れる」(小松リーダー)としている。和牛に比べて生産コスト面でも優位性があり、部位によっては2~3割安く案内できるという。また、オレイン酸の含有率の測定も行っていく予定で、まだデータは少ないが、現時点でも良い数値が出ているとしている。

マルイチ産商では、県内の小売店などから販売を開始するが、「外食店に納入している問屋関係からも興味を持たれている」(小松リーダー)もようだ。今年度は250頭の出荷計画だが、今後、全面的に取り組んでゆける顧客には協同生産も検討してゆく方針だ。「この事業はしっかりと取り組んでいくことができるパートナーが必要。今後はこのブランドへの評価を受けながら、要望に応じて生産を増やしていきたい」(同)と期待感を示している。

〈畜産日報 2018年6月15日付より〉

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