〈和去A5は2,850円前後、A3は2,350円前後〉
9月の牛肉の販売は、猛暑を脱したことや2回の3連休もあって、不調だった8月を上回ったもようだ。ただ、決して好調とは言えず、首都圏の量販店では、台風24号の前に買いだめ需要があったことで前年をクリアできたとしている。枝肉相場(概算)は成牛合計で9%前後、和牛でも5%前後下回ったことが下支えし、和去A5が前月比で41円高、A3が65円高、交雑去勢B2も68円高となった。乳去B2は16円下げたが、1,100円近い高値が続いている。10月は、棚替えで肩ロースうす切りなどスライス材の販売が増えることなどから、相場は上昇すると見られる。しかし、消費者の低価格志向もあり、相場高に卸の体力が付いていけるかは疑問であり、各等級で50円前後の上昇、さらに上昇しても100円高には届かないと見込まれる。

出荷頭数の減少は、高値の子牛を導入した肥育農家が出荷時期を迎える中で、少しでも相場高の時期に出荷しようと出荷時期を繰り延べていることが背景にある。肥育農場はキャパ一杯とも言われ、年末にかけて出荷が上乗せされるとすれば、相場に影響することも想定される。肥育延長によるエサ代と、品質の上昇による評価の向上がバランスすればよいが、どこまで出荷を先延ばしするかは難しい判断だ。A5内での相場の上下格差が拡大しているとの声も聞かれるが、出荷先伸ばしで格差がさらに拡大すると見込まれる。

9月の東京食肉市場の規格別の価格(生体、税込)は、和去A5が前月比41円高の2,836円、A4は73円高の2,519円、A3は65円高の2,273円、A2は63円高の2,037円、交雑去勢B2は68円高の1,457円、乳去B2は16円安の1,089円となった。和牛の出荷が少ないため各等級で上昇し、A4以下の上昇が大きかった。前年比(グラフ参照)でみると、和去A3が7月以降前年を上回り、9月は前年比で269円高となった。同様に交雑B2は5月以降前年を上回り、9月は315円高となっている。

10月の生産見通しは農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は3.0%増(1日当たりでは0.6%増)の9万3,700頭と見込まれる。品種別では、和牛が3.8%増の3万8,700頭、交雑種は6.2%増の2万2,400頭、乳用種は0.9%減の3万1,200頭が見込まれる。輸入牛肉(チルド)は同機構の予測では、9月輸入量は7.3%減の2万3,400t、10月は1.0%減の2万2,200を見込む。9月は前年の米国産の輸入大幅増の反動で減少する見通し。

9月の首都圏の量販店では、2回の連休、北海道の地震、台風24号など、プラスマイナスのさまざまな要因があったが、一時期の猛暑を脱したことで、不振だった8月から脱した。首都圏の量販店に聞くと、既存店の前年比ではなかなか前年をクリアできなかったが、台風24号直前の土日の買いだめがあり、牛肉、豚肉とも前年を上回った。ただ、買上げ点数は牛肉では前年比で1割近く増加したものの、単価は落ちたとしている。平日の国産関連の販売を減らし、週末には焼肉、ステーキを強化した結果であり、単価は落ちたが、ロスの削減にもつながった。

10月の販売では、国産関連では、ここまで和牛、交雑の切落しが販売の中心だったが、相場が徐々に上がってきたことで、パックを作り難くなり、若干パック重量を減らしても、肩ロースうす切りを増やしていく方向が見られる。肩ロースの価格が下がっていたこと、春・夏と切落しが売れてきた中で、秋の棚替えで目先を変える効果を期待しているもの。ただ、消費者の低価格志向は根強く、納入価格がなかなか上がらない中で、どこまで卸の体力が持つのか、またより安価な輸入物へ流れるのかなど、不透明な部分が多い。関連して、和牛から、相対的に安価な独自ブランドの交雑種を販売する量販店が増えており、交雑種は前年の相場を大きく超し、この傾向はしばらく続くと見込まれる。

輸入牛肉は、在庫は多いものの、米国・豪州とも外貨高が続き、為替も円安に振れていることで今後のコスト上昇がほぼ見えてきたため、内貨が締まってきた。関西地域の冷蔵庫被害の影響がまだ続いていることもあり、安価な投げはなくなり、コストなりの販売になっている。輸入物は切落し、ステーキなどの販売が増えてくると見込まれる。

これらを踏まえれば10月の相場は、季節的に上昇するが、現状の消費の弱さから引続き小幅な上昇と見られ、各等級で50円前後の上昇と見られる。そのため和牛去勢A5で2,850円前後、同A3は2,350円前後、交雑B2は量販店での引き合いから1,500円前後と見られる。また乳去B2は頭数不足で底堅く1,100円前後とみられる。

〈畜産日報 2018年10月3日付より〉