食肉加工用機械メーカーのワタナベフーマック株式会社(名古屋市中川区、渡邊将博社長)は昨年春から、事故の低減を目指した「S(エス)ラインシリーズ」を展開している。食肉スライサーやオートテンダー(肉に小さな切込みをいれて触感を柔らかくする機械)といった食肉加工用機械を5機種そろえている。

就労人口の減少や人手不足などの影響で、食肉加工を行う現場では経験の浅い従業員や外国人労働者が食肉加工機械を扱うシーンが増えているという。そういった背景もあって、「食肉加工機械において、顧客にとって何をすべきかを考えたところ、生産性の向上はもちろんだが安全性に特化することを考え、Sラインシリーズの展開を開始した」(松﨑大輔販売企画部販売企画課課長)。

同シリーズでは、機械の設計段階において可能な限りリスクを見つけ出し、安全性を考慮して機械の外観寸法を決めるなどのリスクを低減する機械設計を実施。次に設計段階で抑えづらいリスクに対して、非常停止機能の追加や作動時のカバーロックなどの付加的保護施策を行い機械稼働時のリスク低減を実現している。そして、丸刃洗浄時の事故などを防ぐため、顧客に対して使用上の情報を開示することでさらなるリスクの低減を図っている。3つのステップを踏むことで、「許容不可能なリスクを限りなくゼロに近づけることができる」という。また、シリーズ名は「Safety(安全性)」だけでなく、顧客の商品作りの「Standardization(標準化)」、「Sanitation(衛生)」などの頭文字から「Sライン」としている。

全5機種のうち、丸刃スライサーの「WMU-350S」の引き合いが多いという。カラータッチパネルを搭載して、従来、作業者の感覚に頼ることが多かった肉の厚みやスライス速度などを見える化にした(標準化)。刃物カバーを固定化して、洗浄時など刃物に触れる作業を少なくして、事故リスクの低減を図っている(安全性)。このほか、洗浄時は水洗い可能としており、洗浄作業の軽減と衛生面の向上を実現している。
冷凍肉スライサー「WPN-A360S」

冷凍肉スライサー「WPN-A360S」

 
冷凍肉スライサー「WPN-A360S」では、投入タンクを幅360mm、高さ200mmと大容量にして生産性の向上を図っているほか、投入部と搬出部に大型カバーを設置して安全性を確保している。今後のシリーズ展開は、「当社は顧客ごとのニーズにあわせて、機械をカスタマイズできることに評価がある。そのスタンスを崩さずに、安全性などの価値を創出できる機械を作っていく」(松﨑課長)ことを計画している。
 
現在は「Sラインシリーズ」の特長の認知度を高めることに注力しており、同社ホームページ内にシリーズ特設サイトを設置している。このほか、20年は2月のスーパーマーケット・トレードショー(会場=幕張メッセ)、4月の食肉産業展(東京ビッグサイト)、6月のFOOMA JAPAN(インテックス大阪)といった展示会への出展も予定している。
 
〈畜産日報 2020年1月28日付〉