〈月平均で500円絡み、500円を割り込むかが焦点に〉
緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が9月末の期日をもって全国で解除された。そうしたなか、国産豚肉の実需は引続き内食需要を中心に堅調に推移しているが、今回の解除に伴って徐々にではあるが、外食関係の引き合いもみられている。9月の豚枝肉相場(東京市場)は上旬に上物税抜き550円強と高値で推移し、連休明け以降も500円台半ばを付けるなど月間を通して大きな下落はなかった。当初は後半にかけて、出荷の増加に伴い500円割れの展開も予想されていたが、実際は残暑による増体不良の影響などで出荷はなかなか増えず、結果、月間平均相場は上物税抜き556円(前年同月比19円安)で着地した。

10月は基本的に供給増・相場安の展開となるが、ことしは他畜種を含め、輸入食肉の価格が上昇するなか、国産豚肉のニーズは底堅く推移することが予想されるため、枝肉相場の極端な下げは考えにくい。供給が増加することで相場も下げてくることは間違いないが、あくまで緩やかな下げにとどまるものとみられる。宣言解除による消費動向の変化や輸入品との兼ね合いなど、10月も依然として不透明感が強いものの、月間平均相場では上物税抜きで500円絡みの展開となりそうだ。

〈供給動向〉
農水省が9月22日に公表した肉豚生産出荷予測によると、10月の出荷頭数は前年同月比3%減の143.4万頭と予測している。9月は中旬に入っても1日当たり出荷頭数は6万頭台半ばとあまり増えず、残暑の影響で重量が乗らない出荷も目立っていた。しかし、ここにきてようやく東北や関東などで出荷は回復傾向にあり、増体も改善されてきているという。前年比では減少が予想されるものの、10月からは140万頭を超えて本格的に出荷が増えてくる見込みで、1日当たり出荷頭数は21日稼働で6万8,000頭前後となる見通し。

一方で、農畜産業振興機構の需給予測では、10月のチルド豚肉の輸入量は北米における現地価格の高騰などを背景に前年同月比5.6%減の3万3,100tと予測している。気温の低下に伴いベリー(バラ)中心に需要は堅調に推移する一方で、調達面では上述の通り、他畜種を含め、輸入食肉全体で価格が上昇傾向となり、入船スケジュールの遅延なども相まって不安定な状況が続き、決して潤沢な供給とはいえなさそうだ。

〈需要見通し〉
10月に入ってからも台風一過の影響などで全国的に気温が高い日が続いている一方で、朝晩は気温も幾分下がり、秋めいた気候となってきた。量販店の棚替えも一巡し、スライス系の棚割りが目立つなか、とくにバラの引き合いが強く、カタロースやスソ物を含め、生鮮物の荷動きは全般的に堅調となっている。

輸入豚肉で価格上昇や入荷遅れなど不安定感があるため、量販店では輸入品の特売回数を減らさざるを得ない状況となっており、国産豚肉のニーズは底堅く推移するとみる向きが多い。今後、気温の低下とともに本格化する鍋需要に向けて、スライス商材へのさらなる引き合い増加が見込まれる。

〈価格見通し〉
1日の枝肉相場は、東京市場が上物税抜き535円(税込み578円、前市比6円安)、関東3市場で531円(税込み574円、2円安)でスタートした。農水省の予測からも出荷頭数は140万頭台まで回復してくる見通しだが、月前半は月初の流れを引きずり、500円台前半を維持することが予想される。月半ばには500円割れまで下げるとする見方がある一方、やはり輸入品が不安定な状況にあることから、このままの流れで500円台を維持するとの見方もある。

こうした状況を勘案して、10月の月間平均相場は上物税抜き500前後(税込み540円)と予想する。出荷増を背景に9月相場からは下げるものの、500円を割り込むか、もしくは500円台を維持するかがポイントとなりそうだ。

〈畜産日報2021年10月4日付〉