カナダポーク、トレバーCEOらが2年ぶりの来日、市場・課題を確認しサポート

左側から野村昇司日本マーケティングディレクター、ハンスチェアマン、トレバーCEO
〈日本は変わらず重要市場、生産段階でのカーボンニュートラルへの取組みも開始〉
カナダポークのトレバー・シアーズプレジデント&CEOと、ハンス・クステンセンチェアマンが来日し、日本市場の状況や問題点、今後のサポートの方向性などについて日本のカナダポークメンバーなどとのミーティングを重ねている。

コロナ禍以前の2019年11月に開催したカナダポーク日本事務所開設10周年セミナー以来の来日となった。

トレバーCEOによれば、対日輸出が1968年に開始されて以来、日本市場は重要な市場の1つであることに変わりがない。とくにこの10年は、チルドを中心に数量が伸びている。しかし現在は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに起因し、労働力不足や工場の稼働停止、物流コスト・フレート上昇など、非常にチャレンジングな状況に置かれており、克服していくと強い意志を示した。

日本・カナダ両政府間では、アフリカ豚熱(ASF)が将来的にカナダ国内で発生した場合に備えたゾーニング(地域主義)適用に向け、情報交換を進めており、現地査察を行う段階に進んでいる。日本側もカナダを輸入ポーク供給国として重視しているとの見解を示した。

今後のカナダポークの生産見通しについても、投資を緩めず増産体制を構築していく。一方で、ウクライナ情勢など世界で穀物価格が高騰する現状については、穀物に限らず、肥料原料生産国に影響が生じ肥料価格が高騰を見せている。そのため、カナダで生産する穀物への影響も避けられず、短期的には世界的に大きな影響が生じるとした。

物流混乱への対応に関しては、今回の来日による日本国内メンバーともディスカッションを重ね、課題を洗い出しているという。カナダ国内輸送では、トラックの確保が難しい状況にあり、かつ価格も倍増している。現地では深刻な労働力不足の問題、海上輸送では価格高騰以外にも、コンテナの奪いあいが起きているという。さらに円安が進み日本では輸入コストが高くなっている。

過去10年間、日本市場で数量が伸びてきた時にはマネキン試食(スタッフによる店頭での実演販売)が有効だったが、現状では実施が難しいため、カナダポークが回復に向かうよう、メンバーのサポートプログラムを打ち出していくとした。

日本国内でも意識が高まる、SDGsやサスティナブルへの対応については、カナダポークとしては「カナダポーク品質保証(VCP)マーク」に代表される、トレーサビリティやアニマルケア、農場HACCPなどに既に取り組んでいる。加えて生産者団体のカナダポーク協議会では、カーボンニュートラルをターゲットに掲げ、2050年までに全てのカナダポーク生産者が達成できるように、プランニングをスタートさせた。

〈畜産日報2022年5月19日付〉