〈月平均で600円絡みか、消費は鈍く枝高・パーツ安の逆ザヤ懸念〉
5月の東京市場の豚枝肉相場は上物税抜き591円(税込み638円)を付けた。

前年同月比では122円高となり、コロナ禍で巣ごもり需要が急増した一昨年5月の相場(583円)も上回る、異例の高値となった。その中身をみると、月前半は連休明けの補充買いから上物税抜きで600円を超える日も多くみられた。当初は徐々に落ち着くものと予想されたが、1日当たりの出荷頭数が概ね6万頭台前半と少なかったことで、相場は下げることなく、中旬以降も高値を維持した。

6月は例年、出荷頭数の減少に伴い、相場は高値に転じる時期となる。ただ、ことしはすでに出荷頭数が減少傾向となるなか、豚熱の影響や一部地域でのPED(豚流行性下痢)の発生など予断を許さない状況が続いており、今後の出荷動向によっては相場をもう一段押し上げる可能性も考えられる。

一方で、実需ついては、梅雨入りすることで末端消費は鈍ってくることが予想され、盛り上がりは期待し難い。このため、実需と相場のかい離が進むことが懸念されるところ。出荷頭数や不安定さが続く輸入チルド豚肉との兼ね合いなどを勘案すると、6月の相場も下げ要因は少なく、月間を通して600円絡みの展開が予想される。

〈供給動向〉
農水省が5月19日に公表した肉豚生産出荷予測によると、6月の出荷頭数は132.4万頭と前年同月比で2%減少すると予測している。1日当たりの出荷頭数は22日稼働として6万頭前後で推移するとみられるが、前述の通り、豚熱やPEDなどが出荷に影響を及ぼしてくることで、予想よりも少なめの出荷となりそうだ。また、夏にかけて出荷が細ってくる時期となることに加え、5月の時点では各地で猛暑日が観測されるなど、梅雨入り前の暑さから、産地では増体不良や上物率の低下などが懸念されている。

農畜産業振興機構の需給予測によると、6月のチルド輸入は同6.7%減の3万3,200tと予測。円安進行による現地価格の高騰などで引続き前年を下回るボリュームとなる見通し。さらに、慢性的な入船スケジュールの乱れが続くなか、米国港湾では労使交渉が始まっており、注視していく必要がある。

〈需要見通し〉
量販店などでは、輸入チルドの不安定さから一部アイテムで国産にシフトする動きがみられる。ただ、輸入品で特売を打ちづらいため、国産を中心とした売り場づくりが目立ってはいるものの、連休明け以降、消費者の節約志向の高まりなどから、末端消費は落ち着いている。とくに、ロースやカタロース、バラといった中部位の動きは鈍く、苦戦を強いられている状況だ。

今後、梅雨入りすることで豚肉自体の消費が落ち込むと、売り場では切り落とし、小間材が中心の傾向となる。現状でも動きがあるのはウデ・モモといったスソ物で、この先も比較的安価な部位に引き合いが集中することが予想される。このため、末端消費の伸び悩みによっては実需と相場のかい離がより一層進み、「枝高・パーツ安という逆ザヤがさらに拡大するのでは」(関東の卸筋)と懸念する声も聞かれる。
 
〈価格見通し〉

1日の東京市場の上物相場は税抜き598円(税込み646円、前市比28円高)、関東3市場の全農建値は同588円(税込み635円)を付けた。6月はやはり出荷動向が枝肉相場を大きく左右するものとみられ、農水省の予測などからみれば、相場は前月から下げることは考え難い。このため、東京市場の月間平均では上物税抜き600円前後(税込み650円)と予想する。

ただし、疾病状況などは依然として予断を許さない状況にあり、今後、出荷の落ち込むタイミングなどによっては唱えが急騰し、月間平均でも600円を大きく上回ることも考えられ、豚価高となる夏に向けて、瞬間的に700円近い相場を付ける可能性もある。

〈畜産日報2022年6月2付〉