家庭用チーズ 家飲み増加で需要持続へ 国産チーズ・バター値上げ出揃う

乳業大手3社の国産チーズ、バターが4月1日出荷分から値上げとなり、消費への影響が懸念される一方、チーズについては家飲み増加に支えられ、堅調な需要が続くとの見方が広がっている。うちチーズは家計調査で14年1~12月支出金額が前年比7.9%増、一方、日本フードサービス協会による外食産業市場動向では同期間のパブ・居酒屋業態の売上高が5%減、客足3.7%減であり、単純比較しきれないが、家庭用おつまみチーズ販売好調の実態から、家飲み増加がチーズ消費をけん引しているとみられる。今回のチーズ値上げ幅は最大で8.2%、うちカマンベール35~40円、フレッシュモッツァレラ10円の引き上げとなるが、この1年で確実に増加した家飲み需要が、家庭用チーズ市場を下支えし、値上げ分を市場成長につなげられるか関心が集まる。

「ベビーチーズの14年1~12月売上高が金額・物量ともに2ケタ近い伸び」(六甲バター)、「スモークチーズの売り上げが予想以上に好調。当社だけでなく全酪連も好調と聞いている」(宝幸)。国産チーズだけではない。チーズ専門商社も「業務用ルートの落ち込みを見ると、高齢化で外食する人が減り、家で食べる人が相対的に増えたように感じる。最近大手スーパーから引き合いが多い」「デパートでの売り上げが伸びている」としており、増税後の節約志向や、人口構造の変化で、家飲み需要は今後も堅調とみる。

供給面はどうか。チーズ値上げの背景にあるのは、国内の深刻な生乳不足であり、これに伴い酪農家に支払う原料乳価格が4月から上昇することが最大理由。またチーズの国内消費量の8割を頼る輸入原料チーズの価格が、円安進行の影響を受け調達コストは高止まりしたままであることも要因で、原料高に応じた製品値上げをしなくては事業の継続(商品供給)、開発投資が難しくなる。

おつまみ用途のこのほかの4月値上げのチーズは、雪印クリームチーズ6個入(値上げ幅20円)、雪印芳醇ゴーダ・チェダークラッシュ(10円)があり、いずれも北海道の乳原料100%使用。原料高に見合う製品価格のあり方、価値訴求に、業界全体で今一度取り組む時期に来ている。

なおバターについては、主力200gを雪印メグミルク、明治が12円、森永乳業が15円値上げ。家庭用バターは、業務用ほど植物油脂商品へ需要シフトが加速しない見込みだが、各社油脂商品品揃えは万全だ。