「明治 赤ちゃん相談室」フリーダイヤル化、母乳研究で得た栄養の知見を活用

「明治 赤ちゃん相談室」フリーダイヤル化(画像はイメージ)
〈新型コロナで想像以上の環境変化、母親の孤立が社会的問題に〉
新型コロナウイルスの影響で一人で出産、密室育児など母親の孤立が社会的問題となる中、明治が今年4月、電話相談「明治 赤ちゃん相談室」をフリーダイヤル化し育児支援を充実化、通話時間・料金を気にせず話しやすくなったこともあり相談件数が増加している。

4月の問い合わせ件数は前年比32.8%増、前月比では44.9%増。相談内容は昔も今も「授乳」「離乳食・食事」が2トップで変わらないが、コロナ以降、市町村の健診や新生児訪問、店頭相談などが休みとなり、外出自粛で実家の親やママ友と会って話す機会がなくなったことや子連れ外出の不安から、「孤独育児」が深刻な悩みとして浮上している。情報収集ならインターネットでできるが、相談は話を聞いてもらい助言してもらえる直接対話がいい――、コロナ禍でその思いは母親たちの中で一層強まっていると見られ、「赤ちゃん相談室」が担う役割は重要なものとなっている。

「明治 赤ちゃん相談室」

相談内容を記録し、全相談員で共有(明治 赤ちゃん相談室)

「コロナ感染防止のため赤ちゃんの健診が延期、相談窓口も閉じていて、子供と出かけること自体が不安になったという相談が増えた。電話で栄養士と直接話して悩みを相談し、解決法が聞けたことでホッと安心した、スッキリしたという声をいただき、改めて相談室の使命・責任を痛感している」(明治お客様相談センターグループ管理栄養士・高橋美香氏)。

明治お客様相談センターグループ管理栄養士・高橋美香氏

相談室の高橋美香管理栄養士

明治の「赤ちゃん相談室」は、1970年中頃店頭に並ぶ育児商品が増えるのに伴い、使用方法や保存方法などの問い合わせが増えてきたことから、1976年全国各支店に開設。明治(当時は明治乳業)の全商品に対する問い合わせ受け付け窓口「お客様相談室」と同時開設となり、「赤ちゃん相談室」は授乳や離乳食など栄養にまつわる悩みを抱える母親や妊婦のサポートに特化し業務開始した。1997年、「お客様相談センター」と「赤ちゃん相談室」が本社に一元化され、今年4月フリーダイヤル化となり育児支援の充実を図っている。
 
フリーダイヤル化は、相談者の料金負担をなくすだけでなく、相談員にとってもメリットがある。「これまでは通信費が相談者の負担となることから、相談に乗る時間も意識しながら対応してきた。4月以降は相談者の心情や背景をふまえながら、より丁寧な応対ができるようになってきている」(高橋氏)。
 
そこから見えてきた新たな傾向もある。自粛生活で家で家族全員が3食食べる場面が増えたことで、食事作りの負担も増え、「離乳食の時短テクニックを教えてほしい」という声が増えているのだ。大人の食事から取り分けて作る方法、下ごしらえして冷凍保存し活用する方法など、電話でポイントを紹介し、明治公式ホームページの「赤ちゃん相談室だより」7月号に具体的にまとめた。
 
コロナ禍で見えてきたもう一つの意外な発見もある。それはオンラインの会議・ミーティングやビデオ通話などで「顔出し」が身近になる一方で、顔が見えないからこそ話しやすいという心理的なハードルの低さが、電話相談にはあるという点だ。「顔が見えない電話だからリラックスして話すことができたという声も多い。最近は在宅勤務もあり父親からの相談や、嫁にどう上手く子育てを促したらよいかなどという祖母からの相談も来ることがある」(高橋氏)。
 
なおフリーダイヤルの赤ちゃん電話相談は、明治以外にも乳業会社や各自治体などが既に行っており、それぞれに専門・得意分野がある。明治の専門分野で強みでもあるのが、徹底した母乳研究で得た「栄養の知見」。1979年、1998~1999年、日本全国4000人以上の母親から提供してもらった母乳を調査し、たんぱく質濃度、エネルギー濃度など基礎的なデータを蓄積、粉ミルクの開発に役立てるなど、世界でも類を見ない大規模な調査・研究がベースにある。また1972年以来40年以上にわたる13回の調査で、母乳と粉ミルク「明治ほほえみ」を飲んで育った赤ちゃん延べ20万人以上の発育状況を調査、粉ミルクの開発で常に世界最先端の成果を生み出している。
 
明治の相談員は管理栄養士、栄養士の資格を持つ女性で、幼い子供の育児真っ最中の現役ママから、孫がいるベテランママまでが揃う。相談者は全体の42%が関東地区在住者からで「中にはリピーターの相談者もいて、相談員全員で情報共有しているので前回の相談内容から次の展開へ話が進めやすい。電話をかけてきた時は不安そうな声だったのが、だんだんと明るい声のトーンに変わっていくと私達も嬉しくなり、育児支援の一端をこの相談室が担っていることを再認識させられる」(高橋氏)。
 
コロナの緊急事態宣言中も相談員は出勤、相談業務を続けた。今年の盆の期間も休むことなく相談を受け付ける。外出自粛で田舎・実家に帰省できない乳飲み子を抱える母親にとっては、心強い子育て支援サービスとなりそうだ。
 
「明治 赤ちゃん相談室」フリーダイヤルは0120‐035‐553。相談受付時間は月曜~金曜日10時~15時(祝日・年末年始・第3火曜日を除く)。
 
◆「明治 赤ちゃん相談室」について(明治公式サイト)
https://www.meiji.co.jp/support/inquiry/#baby_clinic