「明治北海道十勝生モッツァレラ」販売エリア拡大へ、賞味期限延長を実現、扱いやすく

明治「明治北海道十勝生モッツァレラ」
明治は、2020年秋に北海道・関東・関西で先行発売したチーズ「明治北海道十勝生モッツァレラ」(100g、税抜400円)の販売エリアを、3月1日から中部・中国・四国に拡大する。

フレッシュモッツァレラチーズ市場への参入は5番目と後発メーカーながら、製造工程と包装資材に独自性をもたせ実現した「味と鮮度」の差別化で、モッツァレラ市場約90億円のうちのシェア12%(2020年10~12月実績)を、販売エリア拡大によって大きく引き上げていく狙いだ。

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国内のフレッシュモッツァレラ市場は森永乳業や北海道日高乳業、花畑牧場などが先行している。後発の明治は、ストレッチング工程の違いによる生乳を凝縮した「ミルク感」を最大の特徴として打ち出している。価格は市場シェアが最も高い森永乳業の商品と同じ。賞味期限については森永商品の31日に対し、21日と10日短い。昨秋の導入時点ではコロナ禍で試食販売できず、中味の違いが消費者に伝わるのか、店頭でロスが発生しないのかが焦点の一つだった。

明治によると、「発売スタートの時期は、若干延滞気味の店舗もあったが、3~4カ月を経て、現在は処分販売はほとんどない状況。店頭回転率は目標に近いところまで上がってきており順調だ」(2月10日の取材にて)。

ただ、取り扱い店率が目標に比べ低いのが課題のようだ。そこで重要となるのが賞味期限。発売時から試験を重ね、先発品と同じレベルまでの賞味期限延長を進めており、ようやく30日の期間を実現。2月中旬出荷分から切り替え始めることから、ここにきてシェア拡大の攻めの態勢が整った格好だ。

3月に拡大するエリアから外れている東北・九州に関しては、物流面を改善し、目途が立てば「次の秋くらいには拡大していきたい」という。

なお、モッツァレラ市場は年々拡大している。民間調査によると、2020年1~12月の購入率(人数)はポーションチーズ20.6%、カマンベールチーズ13.7%に対しモッツァレラは10%。購入者当たり年間購入個数はポーション6.2個、カマンベール4.7個に対しモッツァレラは3.6個。明治は「間口と奥行きともに拡大余地が大いにある」と見ており、そのために「特別な日のチーズではなく、日常シーンでの使用拡大が重要」と話す。

モッツァレラの一般的な食べ方として、包丁でスライスしてトマトと合わせて食べる「カプレーゼ」がある。明治は昨秋から、もっと簡単な、手でちぎって塩とオリーブオイルで食べる提案に取り組んでいる。手でちぎれるほどやわらかな食感をPRする狙いもあるという。「より簡単」な楽しみ方の発信で、デイリー使いのチーズの仲間入りとなれるか、動向を注目していきたい。