福島県の製めん業者には学校給食用のめんを製造しているところが多い。福島県生麺協同組合の組合員41社のうち、17社が学校給食用のめんを製造している。そのほとんどが1967年ごろから給食用めんの製造をスタートさせており、実に50年にわたり、福島の子どもたちにめんを提供し続けていることになる。また、福島県学校給食会も2014年に設立60周年を迎えている。2011年の東日本大震災で、福島県の給食は全国でも類をみない特殊な状況下に置かれることとなった。業界は細心の注意を払いながら、これからも子どもたちに安全でおいしい給食を届けるため、一致団結して取り組んでいく。

〈公益財団法人福島県学校給食会・斎藤肇 事務局参事〉
――福島県の学校給食の現況は。

斎藤 18年4月1日から、福島県の小中学校など、すべてで完全給食(主食・おかず・牛乳)が提供されている。小・中・夜間学校、特別支援学校など、現時点で691校を数え、県内では73カ所の共同調理場(給食センター)が稼働している。当会では、週に3回ごはん、1.3回パン、0.7回めん給食を提供しており、だいたい週に1回程度、給食にめんが登場する。

――めん給食について。

斎藤 47都道府県のうち、めんの組合があり、組織的にめん給食を提供しているのは18都道府県程度である。給食で提供されるめんには蒸気殺菌の工程が必要で、対応できるメーカーも限られる。日本の伝統食でもあるめんは、おいしく子どもたちに人気があり、単価もリーズナブルで、学校にとってもありがたい食材だ。ごはんには味噌汁、パンにはスープという組み合わせがあるが、めん類があれば、もう1品汁物のメニューバリエーションを増やすことができる。福島県生麺協同組合ではこのほどHACCP研修会を開催するなど、安全・安心に向けて具体的に取組んでいただき、心強く思っている。

給食のめんに望むことはシンプル・イズ・ベスト。子どもの味覚は優れていて、余計な味は必要ない。給食の目的のひとつに、「その先の食生活のコントロール」ということがある。子どもたちの将来の食生活に関わる食事として、おいしく、楽しく、食の本来の良さがわかるメニューを提供していきたい。そのために食育にも取り組んでいる。

――県産小麦は使用されているか。

斎藤 震災から今年で8年目となる。米については玄米で全量全袋検査を行っており、その結果、福島県産の米が使用されているが、県産小麦粉についてはまだ保護者から理解が得られず、使用にいたっていない。エリアとして、会津や喜多方産の小麦粉であれば使用の可能性もあるかもしれない。

――給食業界の展望は。

斎藤 少子化で給食人口が少なくなることは明白だが、学校給食がなくなることはない。提供する側の製パン・製めん業の方にはぜひがんばってほしい。より安全・安心な製品を提供できる組織体制づくりに取り組んでほしい。今後はセンター化が進んでいき、献立が統一されてしまうことになるだろう。しかし、一点集中の製造だとリスクの分担ができない。今後もメーカーに対応してもらうことが出てくるだろう。業界として対応できるようにしておいてほしい。震災を経験して感じたことだが、有事の際には外からモノが入ってこない。地元で生産活動をおこなっているメーカーはとても大切だ。これからも期待している。

〈月刊麺業界 2018年4月号より抜粋〉

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