〈新春座談会2018〉学校給食用食品メーカー協会 大沼会長・清水副会長、全国学校栄養士協議会 長島会長〈1〉

全国学校栄養士協議会 長島美保子会長
〈実践活用できるHPの刷新により栄養教諭など学校関係者と連携できる最新情報を提供〉
東京五輪の開催まであと2年半を切った。このまま2020年までインバウンド旋風は続き、世界的にも日本食ブームは続くと予想されている。しかし国内に目を向ければ、少子化の進む中で子どもたちの未来が明るいとは言えない。特に児童・生徒の食環境には課題が多く、朝食欠食、偏食、外食過多等によると思われる様々な体調不良が蔓延し、今や1日1食の学校給食が栄養バランス摂取への数少ない機会となっている。また、給食の実施されていない中学校もあり、あっても安価な弁当で栄養バランスの摂りにくい状況もある。一方、家庭の食は簡素化、中食化して充実した食生活には程遠く、学校給食の重要性は増している。

そこで、今年も学校給食用食品メーカー協会の新年祝賀会にあたり、大沼一彦会長並びに清水誠三副会長と、全国学校栄養士協議会の長島美保子会長による「新春座談会」を企画した。給食の現状や課題、方向性など縦横無尽に語っていただいたので、楽しい意見交換にしばし時を忘れていただければ幸いだ。

〈HPを大幅リニューアル〉
――新春のご挨拶からお願いします

全国学校栄養士協議会 長島美保子会長=文部科学省より昨年3月に公示された新学習指導要領では、食育の重要性が明確に記述されています。関連教科においても、学校における食育は教育課程の中で行うこととして、さらに充実した内容になっています。

続いて、栄養教諭の活動の指針ともなる「栄養教諭を中核としたこれからの学校の食育~チーム学校で取り組む食育推進のPDCA ~」が文部科学省より配布され、学校で取り組む食育推進の重要な手引きとなりました。

このような状況を受けて、栄養教諭は中核となって食育推進に働きかけることが重要です。そのためには教材としての学校給食を今まで以上に充実させていくことが重要で、今年度も更に頑張って取り組みたいと考えています。

学校給食用食品メーカー協会 大沼一彦会長=野菜や水産など資源関係が高騰し、畜肉も上がりましたが、各メーカーの販売努力もあってまあまあの1年でした。第3次食育計画が策定され、5つの課題を行なうこととなりました。栄養士の方へ協会としてできるだけ情報提供をしていこうとHPのリニューアルを行っています。商品の提供から献立のやり方など各メーカーの商品を基に最新情報をバックアップしていきます。

学校給食用食品メーカー協会 大沼会長

学校給食用食品メーカー協会 大沼一彦会長

〈栄養士の悩みを解決するHPに〉
――昨年の両協会の主な事業活動のご紹介を

長島=栄養教諭の資質向上のための講習会や研修会を実施しました。また、衛生管理、食育カリキュラム、食育事例の紹介などを刊行することとあわせ、国の食育推進施策に協力してきました。

春夏のキッズフェスタなど親子を対象にしたフェア等にも参画し、食の選び方が勉強できるブース出展など様々に啓発活動をしてきました。

栄養教諭の配置については、まだ5,700名と3割にも達していません。目標は1校1名を目指しています。

学校給食用食品メーカー協会 清水誠三副会長=HPのリニューアルに力を入れました。従来はメンテナンスも不十分で、アクセス数も少なく、そこで例えばアレルゲン対応商品をメニューと共に紹介するなど、栄養士の皆さんに大いに活用いただけるHPに大幅改良しました。

学校給食用食品メーカー協会 清水副会長

学校給食用食品メーカー協会 清水誠三副会長

長島=私たちの団体へも、リニューアルされた段階で、ぜひPRしていただければと思います。栄養教諭は学校と調理場を兼ねもっているため、今は直接メーカーの皆様となかなか会えず接点が少なくなりました。顔が見えないので、商品だけを置いていかれてもよく分からないというのが実情です。清水 各センターさんにお邪魔しても、対面してのコンタクトができなくなりました。

長島=メニューや商品を探してもチャンスがない場合もあります。

清水=メーカー別、カテゴリー別、行動食など、選べるようになっています。

長島=国内の味めぐりのような献立も出していますが、いざ探してもなかなか探せずに困っている状況もあります。

清水=栄養士の方々の悩みを少しでも解決できれば幸いです。

(この項、続く)

〈給食雑誌 月刊メニューアイディア 2018年3月号より〉

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