〈シグナル〉サステナビリティへの対応も値上げ要因に

 
食品業界と外食業界は、2021年から値上げの発表が続き、新聞、テレビ、ネットニュースで毎日のように報道されている。テーマパークや家電、建築資材や電気・ガスなど、他のカテゴリーも軒並み値上がりしているが、食品と外食の価格改定を扱ったニュースがとりわけ多いと感じる。生活に密着した身近な存在で商品数も多いためだろう。
 
食品の値上げの主な理由は、原材料価格の高騰だ。新型コロナウイルスで落ち込んだ経済活動が回復し、世界的に需要が増加したことが背景にある。さらに物流費も増加した。2022年は、ウクライナ情勢の長期化に伴う供給不安もあり、多くの企業が急激なコスト増加の課題に直面している。
 
最近の値上げ発表の中で、特に印象的だったのは、サントリー食品インターナショナルが5月16日に発表した国内一部商品の価格改定のリリースだ。サステナビリティへの対応を、原材料価格高騰などとともに値上げの理由に挙げた。具体的には、「リサイクルPETボトル等サステナビリティ取り組みに対するコスト上昇」というもの。
 
サステナビリティ活動にはコストがかかると表明するのは、企業が生活者や流通企業と一緒に、持続可能な社会実現を目指すという意志の表れであり、賛同されそうだ。この先、値上げ要因にサステナビリティ対応を挙げる企業が増える可能性もある。ただ、その際、社内外から取り組み姿勢がいっそうチェックされる覚悟は必要だろう。