東北産大豆の生産振興を目的とした、「東北大豆セミナーin せんだい」が仙台市内でこのほど開催された。東北地方は29年産大豆の総作付面積の約24%を占める一大産地となっている。その一方で、28年産の平均落札価格では、同じく大豆主産地域の九州産に比べ、東北産大豆は2割程度下回っていることから、品質などにおいて実需者の要望を踏まえた生産が求められている。今回のセミナーでは、国産大豆の流通・消費に係る情勢や国産大豆に対する実需者の要望などを紹介した。

〈生産量安定化と需要拡大はワンセットで取り組む必要がある/JA全農〉
始めに、JA全農麦類農産部の佐々木琢磨・大豆特産課長が「国産大豆の生産・流通について」と題し講演した。生産状況については、15年産、16年産の不作による価格高騰後は、安定的な生産量を背景に国産大豆の需要回復・拡大に努めてきたが、25年産の不作により再び高騰、その影響は26年産にも及んだことで、需要が再び減退していると振り返った。その上で、27年産以降は全体では価格が落ち着いているものの、一部銘柄では需給バランスの崩れにより、銘柄間で価格差が出ていると指摘した。

また農水省が掲げる37年産の生産目標32万tに向けては、課題として需要拡大、実需者ニーズに対応した供給体制、新品種・技術の開発、収量・品質の高位安定化、生産コストの低減などを挙げた。

その上で生産面の課題としては、単収の低さと単収のブレにあるとした。12年の世界平均単収は237kg、米国は266kg、ブラジルは266kg、日本は171kg と格差はあるが、北海道に限れば200kg を超え、世界水準に近い単収を実現しているとした。さらに、世界平均単収は緩やかではあるが増加傾向にあり、その背景にはGM大豆が寄与している側面もあるが、生産者の努力が前提にあるとした。

単収のブレについては、水田を主とした生産であることや、気候特性などによる影響が大きく、近年では九州で連続して単収が下がっている状況が続いていると説明した。実需者は収量が安定しないと計画的に原料として使えないため、単収安定化が求められており、新品種や栽培新技術の導入が不可欠だとした。その上で、単収の向上と実需の拡大をワンセットで取り組む必要があるとした。

大豆の実需動向については、国産大豆においては味の良さや品質の高さから、ほぼ全量が豆腐や納豆、煮豆用などに使用されているとした。用途別の使用量は豆乳を除き長期では、減少トレンドにあるが、直近では健康志向を背景にみそやしょうゆは、海外に販路を見出している状況だとした。

豆腐用途ではメーカー各社の技術向上による歩留まりの向上、充てん豆腐の割合が増えていること、ロングライフ化により賞味期限10日前後が普通になっていることもあり、減少傾向にあるとした。

輸入大豆と国産大豆の価格動向については、国産大豆の入札価格は、輸入大豆価格の一定倍数のレンジ(1.9倍)内に収まってきたが、25年産の不作により、25~26年産では大きく上回ったとした。しかし27~28年産では、レンジに近づいており、価格は落ち着いてきているが、以前と比べればまだ高い位置にあるとした。なお29年産は現状ではレンジ内に収まっているとした。

佐々木課長は最後に「生産量の安定化(単収向上)の取り組みが不可欠であり、需要の維持・拡大とワンセットで取り組む必要があり、最大限進めていく。需要が拡大し、生産量が減少した場合は繰り越し在庫などで対応しながら、需要の維持を図り、翌年の需要拡大につなげていく。限られた面積でも単収拡大の余地はある。単収拡大を図りながら、安定生産、生産量の増加に努める。東北は北海道に次ぐ大豆の生産地であり、国産大豆の安定生産の柱になる」との見解を示した。

〈大豆油糧日報 2018年2月16日付より〉

【関連記事】
国産大豆流通における卸業者の役割を講演 東北大豆セミナー・浅利三倉産業取締役/松永納豆連専務理事