大豆業界関係者が一堂に集まり会合、Non-GMO表示厳格化への対応巡り

大豆油糧日報 2018年6月27日付
〈「不検出」の再考を求める、消費者庁に連名で要望書提出へ〉
主要大豆関連団体・企業は25日、消費者庁の検討会が決めたNon-GMO表示厳格化への対応を巡り、日本豆腐協会内で会合を開き、消費者庁に対して「不検出」を条件とすることの再考を求める要望書を連名で提出することを決めた。

会合には、全国納豆協同組合連合会の松永進専務理事、全国味噌工業協同組合連合会の磯部賢治理事、日本醤油協会の加藤裕久参与、全国凍豆腐工業協同組合連合会の古畑洋一専務理事、関東大豆卸商組合連合会の木下光博理事、互明商事の林英伸社長、兼松の松本憲二・穀物油脂部油脂課課長、豆腐公正競争規約設定委員会の村尾誠議長(さとの雪食品常務)、全国豆腐連合会の橋本一美業務執行理事、大石眞太郎相談役、相原洋一事務局長、日本豆腐協会の町田秀信専務理事が出席した。このように大豆業界の主要関係者が一堂に集まる会合は異例のこと。

冒頭、日本豆腐協会の町田専務理事が「今まではGMO混入率5%以下であればNon-GMO表示が認められていたが、(消費者庁検討会では)『0%(不検出)』以外は認めないとの考えが示された。他方で豆腐業界では公正競争規約の議論を続けているが、GMO表示の問題も盛り込んでいきたいと考えている。そして大豆業界としても消費者庁、農水省などに意見を申し上げていきたいと考えており、率直な意見を聞かせて頂きたい」と述べた。

〈「不検出」は社会的コスト大きすぎる、業界として筋を通した話をすべき〉
続いてNon-GMO表示厳格化について、各団体が意見を述べた。始めに納豆連の松永専務理事は、「納豆は大手4~5社で市場の8割を占めているが、大手はどうしても輸入大豆に頼らざるを得ない。今回のGMO表示問題については、いきなり『不検出』とする案が出てきて業界も慌てている。国産大豆を使用した場合でもNon-GM表示をしているが、これはメーカーが意図してやっているのではなく、流通から表示を入れてくれという要望があるためだ。国産大豆はGMOではないから、表示をしなくても良いのではという声もあったが、表示をしなければ消費者から『今までごまかしていたのでは』と言われる可能性もある。消費者庁の担当者に、国産大豆のみ使用していても混入などにより万一、GMOが検出されたら大変なことになるため、Non-GM表示の条件をある程度数値で示してもらった方が取り組みやすいと伝えたが、今の状況では『不検出』ということになっている」と懸念を示した。

全味工連の磯部理事は、「みそも輸入大豆・国産大豆の場合もNon-GMO表示をしてきた。これが出来なくなるとしたら戸惑いを感じる。今年4月に、消費者庁から団体としての考え方を問われ、『不検出』がどういった制度によるものなのか分からないが、検査で検出されたということにもなりかねないため、GMOがらみの表示はしないという考えを示した。ただ表示責任者は事業者なので、個々で分析・確認の上であれば表示をするなとは言えない。また、国産大豆の扱いはどうするか。国産大豆だという証明があれば、分析をしなくても認めてくれるのか。ロットごとに検査するのか、年に1回の検査なのかなど、運用の問題でも変わるが、現状は団体として原則、Non-GMO表示は難しいと業界内に伝えている」と述べた。

さらに、「『不検出』という形にするとGMO表示は店頭から消えてしまうと伝えたが、消費者団体は『正確な表示でなくてはいけない』と主張を通したのだから、我々が知恵を絞ってやる話ではなく、表示をしない方が良いのではとも思う。検討会の報告書に対しても影響が大きいのであれば、今一度意見を言うべきではないか」と述べた。

最後に「『不検出』が条件で表示を行うとなると、社会的コストも大きい。残留農薬も厳しい規制が行われているが、『不検出』が条件とはなっていない。GM大豆は国が安全だと認められたもののみ使用されているのに、残留農薬よりも厳しい条件というのはあり得ない。業界として筋を通した話をすべきた」と主張した。

〈大豆油糧日報 2018年6月27日付より〉

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