食品産業センターが消費者庁に意見書、計画的な食品表示見直しなど求め

大豆油糧日報 2018年4月13日付
〈原産地表示・GMO表示など制度見直し頻繁、事業者負担は増すばかり〉
食品産業センターはこのほど、消費者庁の検討会が先月とりまとめた、Non表示(遺伝子組み換えでない)の条件をGMO「不検出」に厳格化する、GMO表示制度に関す報告書の公表を契機に、同庁長官あてに、計画的な食品表示見直しの制度化や、食品表示に関する関係省庁による調整の場の設置を求める意見書を提出した。

食品産業センターは意見書のなかで、15年4月の栄養成分表示義務化など食品表示制度の大幅見直し、16年4月の製造所固有記号制度の見直し、17年9月の原料原産地表示制度の拡大、そして今回のGMO表示制度の見直しに加え、今後の検討が予定されている、食品添加物表示制度の見直しも含めて、食品表示制度が頻繁に制度見直しが行われていることを挙げた。

その上で、こうした食品表示制度の見直しは、事業者にとって容器包装の変更、原料調達状況などの根拠資料の把握整理、表示関係のデータベースやシステムの見直しなど、コストを要していると指摘。また表示以外にも、HACCP対応なども求められる中小事業者にとっては、経営存続にもつながる問題との認識を示している。

食品産業センターでは、こうした現状の改善には、食品表示制度の大きな見直しは十分な期間を取って、一括して行うなど、食品事業者が計画的に表示を見直すことができ、包材などコストの軽減が図れるルール化が必要だとしている。さらにNon表示については、制度変更を直ちに適用するのではなく、一定の周知期間を設けてから適用することも検討すべきだとしている。

次いで、関係省庁による調整の場の設置については、容器包装の表示スペースに限界があるなかで、食品表示法以外の表示(リサイクルなど)との調整を行わないと、情報量が増えるばかりで、表示の視認性が低下し、消費者がアレルギー表示のような安全に係る表示を見落とし、事故につながる恐れがあると指摘している。

さらに食品表示は事業者にとって、製造方法や原料調達の方法の見直しにも影響が及ぶ厳しい規制であり、安全に関わらない表示は、他の媒体を用いた情報提供を含めて、関係省庁間で調整ができる場を設けて、課題を整理すべきことを求めている。

〈大豆油糧日報 2018年4月13日付より〉

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