消費者庁のGMO表示検討会が16日に都内で開かれ、とりまとめにむけた報告書案について議論した。Non表示(遺伝子組み換えでない)については、現行の5%以下から0%(検出限界以下)に引き下げる厳格化案を、新しい公定検査法の確立、十分な周知を前提とした上で、大筋了承した。

当日の審議では、武石徹委員(食品産業センター企画調査部長)は「検出限界以下の0%への引き下げは懸念が多い。0%の純度を求めるニーズがどれほどあるだろうか。GMOの安全性への懸念など、かえって誤解を与えかねない。現行制度で一定のNon表示ニーズはあり、消費者ニーズに逆行する恐れがある」と主張した。

さらに検査面では「どのサンプルを取るかで結果にブレが生じる可能性がある。コスト面を含め、検査の仕組みが実行可能か、整理した上で、必要性を検証する必要がある。社会的検証では、検出限界以下の0%は0.01%を想定していると思うが、輸入では難しく、国産でも難しい。そうなると制度が機能するのか、それを担保する社会的検証が本当にできるのか」と強い懸念を示した。

湯川剛一郎座長(東京起用大学教授)は「検査法は学術的な厳格さ、厳正さを持って0%を追求するための検査方法ではなく、表示の根拠たる0%を担保できる、誰がどこでやっても同じ結果が出る検査方法、実行可能性も担保した方法をこれから検討していく。検査方法と判定方法との組み合わせになる。偶発的に入ったものは、行政判断材料になる。検討会ではそこまで議事録に残している」との考えを示した。

〈厳格化でNon表示はプレミアム化、事業者が自信を持って商品出せるのか〉
今村知明委員(奈良県立医科大学教授)は「検査法が懸念される。サンプリング誤差が生じるのではないか。検体により陽性、陰性に分かれた場合は紛争になりかねない。仮に誤差の問題を解決しても、Non表示が無くなる恐れがある。仮にNon表示を維持するとしたら、それは手間のかかるプレミアム表示となり、価格は2~3倍になる。また、プレミアム(不検出)、0~5%(分別流通)、不分別の3表示になった場合、消費者がプレミアム表示以外は、ややこしい0~5%ではなく、不分別で良いとなれば分別流通制度が無くなってしまう恐れがある」と述べた。

江口法生委員(日本スーパーマーケット協会事務局長)は「0%には違和感がある。事業者が自信を持って0%の商品を出せるのか。本当に0%基準でNon表示商品を作ることが現実的なのか。0%基準は行き過ぎではないかと感じている」と述べた。

一方で厳格化案に賛成意見としては、松岡萬里野委員(日本消費者協会理事長)は「Non表示は宝石のごとく扱われるのは、消費者が制度を十分に理解していないからだ。引き下げた場合、0~5%は現行のNon表示と同じであることを、時間をかけてでも伝えれば良い。逆に現行の5%未満でもNon表示できてしまうことの方がひどい。事実を伝えることが重要だ」と述べた。

夏目智子委員(全国地域婦人団体連絡協議会幹事)は「引き下げることで、0%のNon表示と不分別商品に二分されることは考えにくい。企業は分別流通を続けるのではないだろうか。消費者の選択は分からないが、Non表示を求める人もいるが、現行制度と同じ5%未満を選ぶ人も多いのではないだろうか」と話した。

澤木佐重子委員(食の研究会代表)は「引き下げた際に、0~5%のものについて啓発すればいい。現行のNon表示と同じであることが分ければ、消費者は買うのではないだろうか」と述べた。

厳格化賛否の意見を受け、湯川座長は「引き下げを懸念する意見もあったが、Non表示の厳格化が大勢であった。表示の影響については、モニタリングを積極的に行う文言も盛り込む」と述べて、とりまとめの考えを示し、報告書としてNon表示は現行の5%以下から0%(検出限界以下)に引き下げるとした。次回検討会で修正を加えた報告書案を示し、最終調整を行う。

〈大豆油糧日報 2018年2月21日付より〉

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