今年度中の報告書とりまとめを目指している、消費者庁のGMO表示検討会は16日の会合で、いわゆるNon-GMO(遺伝子組み換えでない)表示の条件として、現行制度のGMO混入率5%以下から、「0%(不検出)」に厳格化する案を大筋で了承した。

検討会が厳格化の方針を打ち出した主な理由は、「最大でGMOが5%混入している可能性があるにも関わらず、『遺伝子組み換えでない』と表示することは誤認を招く」とした上で、誤認防止、表示の正確性の担保、消費者の選択の幅を広げる観点から、不検出を条件とすることが適当との考えを示している。

あわせて、厳格化によって「遺伝子組み換えでない」表示ができなくなる食品について、分別流通管理を適切に実施してきた事業者の努力を消費者に伝える観点から、分別流通が適切に行われている事を任意で表示できるとしている。

本紙としては、このGMO表示の厳格化案に賛成することは到底できない。最も大きな理由は、現行制度は施行から約17年間、重大な表示違反を出すことなく、分別流通制度も含めて概ね機能しており、見直すべき問題点はこれといって見当たらないことだ。また、海外の穀物生産者・穀物流通関係者・食品産業界など、全ての関係者の不断の努力も忘れてはならない。

消費者団体の中には、「店頭の食品が全て『遺伝子組み換えでない』と表示されているのはおかしい。信用できない」との発言がしばしば聞かれるが、それは表示の背景にあるものを洞察し、理解する能力が無いためであって、他者に問題があるわけではない。このような資質に問題のある人物が、消費者代表という顔をして検討会の委員に名を連ねていては、審議内容に疑義を示されてもやむを得ないだろう。

はっきりさせておきたいのは、Non-GM農産物・食品を求めているのは消費者であって、生産・流通・メーカーといった事業者は現行制度に即して、それに応えているにすぎないということだ。GMO不分別の原料を使った食品が売れる根拠は無い。

さらに今回の厳格化案は、消費者の商品選択と誤認防止のためだとしているが、不検出を条件とするNon-GM大豆・トウモロコシの流通は、一粒単位の分別流通管理が必要になると考えられるが、それは非現実的である。また、国産原料を100%使用している商品でも、0.01%の精度を持つ定性検査で、全ての商品において常時不検出を保証できるかと言えば、難しい注文だろう。

仮に厳格化案が法制化されれば、小売店の店頭から「遺伝子組み換えでない」表示の食品は一掃される可能性がある。その場合、消費者の商品選択の幅は大きく狭まることになる。その意味でこの厳格化案は、大きな欠陥があると指摘せざるを得ない。

いまさら言うまでもなく、日本は多くの食料を輸入に依存している。大豆・トウモロコシは、その典型でありながら、Non-GM原料が必要な商品においては、優れた分別流通管理により95%以上、大豆であれば98~99%に近い精度で継続的に調達できている。これ以上の要求は、消費者の権利を振りかざした単なるエゴである。そのエゴに基づく法規制が機能するはずはなく、全方位的に混乱をまき散らすだけであろう。そうした結果責任を、消費者庁と検討会が果たして取れるのか。

報告書案では結びにおいて、「消費者および事業者双方にとって、現行制度よりも一歩前進できる制度構築を念頭にとりまとめに至った」とあるが、危険なほど能天気な認識だと言わざるを得ない。厳格化案は来月の会合冒頭で、湯川座長は潔く撤回すべきである。

〈大豆油糧日報 2018年2月20日付より〉

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