〈購入経験率は約50%、潜在的ニーズに期待〉
家庭用オリーブ油市場は、その独特の風味を生かした洋風メニューの定着に加え、植物油の健康性への評価が近年高まっていることを追い風に、成長マーケットとして注目を浴びてきたが、昨年度は天候不順の影響によりスペイン、イタリアなど主産地におけるオリーブの不作で現地相場が高騰し、昨年4月と10月に価格改定を余儀なくされたことなどで、市場は伸び悩んだ。しかし今年度は、オリーブの現地相場も落ち着きをみせており、昨年度に比べて販売しやすい環境にあるほか、主要各社とも商品ラインアップの強化に加えて、さまざまな販促企画を投入することで、改めて市場活性化を図っている。

製油メーカーによれば、17年度の家庭用オリーブ油の市場規模は前年比3~4%減の360億円台で伸び悩んだと推測している。上半期はほぼ前年並みで推移したが、現地価格の高騰やユーロ高の影響により価格改定を余儀なくされる中で、需要期の下半期に入り勢いを欠いたもようだ。

そうした市場環境下においても、日清オイリオグループ、J‐オイルミルズ、昭和産業の主要家庭用油メーカーは、いずれも前年を上回る販売実績を残した。J‐オイルミルズは昨年の早春放映した、タレントの大野智さんを起用し、オリーブ油の生食「ひとかけ」用途を訴求するテレビCMが好評、それと連動した店頭活動や、地道な試食提案などが実を結んだ。日清オイリオグループは密封ボトルをからめた生食「かけるオイル」用途の積極提案や、定番の「BOSCO」ブランドと、汎用性の高い「日清」ブランドの2本立て展開が成果を上げた。昭和産業は戦略的な販路政策などにより大幅に売り上げを伸ばした。

裏を返せば、その3社以外の輸入ブランドにとっては厳しい一年だったと言える。

その意味では、これまで右肩上がりの市場拡大が続いたオリーブ油とは言え、具体的で消費者に確かに伝わる販促施策が無ければ、商品ブランドとして生き残れない時代に入ったと言えるかも知れない。

そして18年度は改めて、400億円市場を目指した取り組みが各社でスタートしているが、製油メーカーによれば6月以降、人気健康番組でオリーブ油が取り上げられたことも寄与して、家庭用オリーブ油の売上は2ケタの伸びを示しているという。

各社の施策の大きな方向性としては、メニュー提案を中心としたヘビーユーザー向けの「奥行き」を広げる取り組みと、ピュアタイプ商品の強化によりオリーブ油の汎用性を訴求することで、新規ユーザー・ライトユーザーを取り込む「間口」を広げる取り組みに集約されよう。購入経験率が約50%で伸び悩んでいることは、まだまだ潜在的ニーズが期待できるということであり、今年度は再び成長マーケットして注目が集まる可能性が高まっている。

〈食品産業新聞 2018年8月9日付より〉