みそメーカーは、大手と中堅の格差が開きつつある。大手メーカーはみそだけでなく、他の食品の販売にも乗り出し、食品メーカーとしての成長を目指す。みそ業界でも原材料費、人件費、物流費の高騰は収益を圧迫する要因となっており、厳しい経営が強いられている。売上金額よりも利益重視の採算体制を築けるか注目されるところだ。

食品需給研究センターがまとめたみその2018年の生産量は、前年比0.8%減の47万8068t(前年比3977t減)。大手メーカーと中堅メーカーとの差が大きく広がった年だった。みそ市場は、販売数量でみると上位10社が7割近くを占め、その中でも、マルコメ、ハナマルキ、ひかり味噌の3社は突出している。市場全体として販売数量は減少傾向だが、この3社は2018年も前年を上回って推移した。
みそ生産量の推移

みそ生産量の推移

〈市場のトレンドは甘口〉
市場でのトレンドは、麹(こうじ)割合の高い甘いみそだ。マルコメの「丸の内タニタ食堂の減塩みそ」、「プラス糀無添加糀美人」などが市場をけん引し、ひかり味噌の「麹の花 無添加オーガニック味噌」シリーズやハナマルキの「生みそ糀」、マルマンの「減塩 糀みそ逸品」などが甘口の市場をさらに盛り上げた。
 
今年の新商品では、マルコメとひかり味噌から、さらに甘口のみそを目指した麦みそ関連の新商品が投入された。これまでは地方のみそメーカーの専売特許だった麦みそを大手メーカーが販売し始めたことで、中堅メーカーは危機感を感じずにはいられない状況となっている。
 
また、新商品のトレンドでは、フリーズドライ製法で生産した顆粒みその新商品が投入され始めた。マルコメは、青森のみそメーカーかねさの「ひいふうみそ汁 しじみ」を全国販売するほか、自社ブランドでも、あおさ、とうふわかめ、しじみの顆粒みそを袋とカップで販売を開始した。
 
神州一味噌でも片手で扱いやすい「パパッと味噌パウダー」を投入。みそ汁以外にも調味料として、調理にも使いやすいようにボトルの形状にこだわった新商品となっている。さらに昨年からヒット商品となっているマルサンアイの鮮度ボトルを採用しただし入り液状みそ「鮮度シリーズ」が売場で存在感を出し始めた。これまで液みそではマルコメの商品だけが2~3品並ぶだけだったが、「鮮度シリーズ」の台頭で、売場面積を広げ、液みその売場を賑やかにしている。
 
マルコメも今後は液みその販売に力を入れる考えを示しており、今年の秋冬の新商品では新しいフレーバーを投入するのではないかとみられている。
 
〈みその値上げに踏み切るメーカーも〉
食品業界では油や飲料など、立て続けに商品価格の値上げを発表した。みそメーカーでも、原料価格、人件費、包装資材の高騰で収益が圧迫、厳しい経営状況が続いているメーカーが多く存在する。
 
大手メーカーの値上げを待つ中堅メーカーでは、10年前の値上げで、苦い思いをしており、なかなか値上げに踏み出せないでいる。こうした中で、マルモ青木味噌醤油醸造場が主力商品の値上げ10%を発表した。これがどうほかの中堅メーカーに影響を与えていくかは注目されるところ。
 
トピックスとしては、2月15日のTBS「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」で、医師が考案した『長生きみそ汁』が紹介された。その反響で、赤みそと白みその販売が跳ね上がり、欠品する騒ぎとなったという。それは赤みそと白みそにリンゴ酢とタマネギのすりおろしを加え、それを冷凍しストックして、好きな時にお湯をかけて食べられるようにしたものだという。
 
〈液みそ・顆粒みその存在感が増大〉
今後のみそを食する環境は変わっていくと見られている。家族で食事をとらなくなってから、鍋でみそを作るケースが少なくなり、個々の好きな時に好きなみそ汁を飲みたいという要望から即席みそ汁が急速に販売を伸ばしている。
 
メーカーでは、ひとつの味をある一定の期間使ってもらうのではなく、複数のみそを冷蔵庫にストックしてもらい、好きなみそ汁を好きな時に飲めるような提案に切り替えるところも出てきている。そういう意味では、固形のみそではなく、液体や顆粒といったみその方がボトル形状もスリム化でき冷蔵庫に入れやすいことから、今後のトレンドは液みそや顆粒みそを推す環境が広がるのではないかとみられており、本物のみそ汁とは何かをアピールする反勢力の巻き返しに期待がかかる。