全国味噌工業協同組合連合会(全味)によると、2019年1月~5月のみその生産量・出荷量は、ともに前年を上回って推移している。生みそは横ばい傾向だが、即席みそ汁の急速的な市場拡大、輸出量の増加などが業界にとって明るい材料となっている。即席みそ汁では関連企業とのコラボレーションなど話題性も高く期待できるが、生みそでは減塩、無添加、機能性のアピール以外の情報発信に乏しさを感じる。多方面との連携強化に取り組み、話題性の高いアクションが求められる。

全味がまとめた19年1月~5月の生産量は前年比2.6%増の16万9635tとなり、出荷量は同1.4%増の16万5471t。生産量は1月と5月が前年を下回ったものの、2~4月は前年を上回っている。出荷量は2月、3月、5月と前年を下回ったが、4月が大幅に増加したため、全体では前年を上回った。また、総務省の家計調査では、購入数量はトータルで前年を下回って推移している一方、平均価格は上昇傾向。支出金額は1月を除いて5月まで前年を上回った。

今年は例年に比べて長雨が続き、飲料ではアイスよりホットの売上の方が好調に進捗したという。天候はみそ汁の動向にも影響し、需要は増加傾向だった。

国内では、少子高齢による個食化が進んでおり、簡便ニーズも高まっていることから、生みそよりも即席みそ汁の方が好調だ。市場規模は昨年過去最高を記録し、630億円に到達しそうな勢い。ここ最近の即席みそ汁市場ではブロック型のフリーズドライタイプ(FD)の勢いが目立っていたが、今年に入り、顆粒タイプの新商品が大手メーカーからリリースされ、みそ汁だけにとどまらない調味料としての用途提案に力を入れる傾向が見られる。

マルコメは、今春から青森県の老舗ブランド“かねさ”の顆粒みそ「かねさ ひいふうみそ汁」の販売を全国展開し、今秋の新製品では、かねさの技術を応用した顆粒みそを“料亭の味”ブランドからリリースした。以前の粉末みそとは違い、本格的な味わいが実現されていることから、みそ汁にしてもおいしく、炒め物や煮物のうま味出し、コクだしとして、顆粒みそを振りかけるといったレシピ提案を展開している。

神州一味噌でも今春の新製品として、「パパッと味噌パウダー」を投入。パッケージにこだわり、調理中でも扱いやすく、簡単にパパっと振りかけやすい形状を実現している。「パウダーだから、溶けやすい・かけやすい」、「料理になじみやすく、味付けがこれ1本で決まる」、「味付け調節が簡単にでき、レシピの幅が広がる」、「鰹と昆布だしのきいた、やさしい甘めの味わい」などを特徴としている。価格は生みそと比べても、400円前半と強気の価格付けを実施しており、同社でも「今年はこの『パパッと味噌パウダー』の販売に注力する。配荷も順調で、店頭で使い方や味を体験していただければ、必ず購入していただける」と自信を見せている。

また、ハナマルキでは、にんべんとコラボレーションし、だしのうまさに特化した即席みそ汁「だしを愉しむおみそ汁」を今秋の新商品として投入する。鰹節へのカビ付け工程を4回以上繰り返した、最高級の本枯鰹節を贅沢に使用した逸品となっている。近年高まりを見せる「だし需要」に応えた新製品となっており、差別化をはっきりさせたことで消費者からの支持も得やすいのではないかと期待できる。

また、同社では、簡便であり、具材のボリューム感を打ち出した「スグ旨カップみそ汁」が好調だ。今秋の新製品も5種類の野菜を使用した「彩り野菜」と香り高い舞茸をふんだんに使用した「きのこ」を追加した。

即席みそ汁を持たない中堅メーカーは、この巨大化する即席みそ汁市場とは完全に棲み分けた販売戦略の実行が待たれる。生みそは無添加・減塩のトレンドからは抜け出せておらず、話題性に欠ける状況が続いている。今年は、味の素も、「ほんだし」シリーズの取り組みの一環として、みそ汁の良さを再認識してもらうための「うちのみそ汁」応援プロジェクトを始動させた。地域性の高いだしメーカーとのコラボレーションや、有名レストランとの連携などから、商品開発に取り組み、話題性の高い商品、販売戦略をどんどん実行していくべきだろう。

海外では、和食ブームの流れから、みそへの需要が高まっており、輸出に関しても好調に推移している。海外に進出して、海外食品メーカーとのコラボレーションなども面白い。各メーカーには、ただ輸出を行うだけではなく、伝統を守りながらも、みそメーカーとしての新しい動きを見せるパフォーマンスに期待したい。

〈食品産業新聞 2019年7月29日号〉